痞根まとめ:効能・取穴・関連症状

名称

  • 和名:痞根(ひこん)
  • 経穴:経外奇穴(背部)
  • 英名:Pigen (EX-B4)
  • 別名:胃根、胃の根の穴


取穴(位置・取り方)

  • 第1腰椎棘突起下縁(大杼の下方)より外方3.5寸に取る。
  • 背部で最も外側にある奇穴の一つ。
  • 左右1穴ずつ存在する。
  • おおよそ脾兪(BL20)腎兪(BL23)の中間より外方寄りに位置する。


解剖(近接構造)

  • 表層:皮膚、皮下組織。
  • 筋層:広背筋、最長筋、腰腸肋筋。
  • 神経:腰神経後枝。
  • 血管:腰動脈後枝。
  • 関連臓器:胃・脾・腸などの消化器系。


東洋医学的作用(要点)

  • 健脾和胃: 胃脾の機能を調整し、食滞・胃気の滞りを除く。
  • 消積導滞: 胃腸に停滞した飲食物を消化・排出させる。
  • 理気止痛: 腹満・腹痛・膨張感を緩和する。
  • 安神寛胸: 胸やみぞおちのつかえ、情緒的ストレスの緩和にも効果。


主な適応

  • 胃痛、胃炎、消化不良、胃下垂。
  • 腹部膨満、鼓腸、食欲不振、嘔吐。
  • 慢性胃腸障害、腸の蠕動不全。
  • 糖尿病、肥満、脾虚による倦怠感。
  • ヒステリー、神経性胃炎など精神的緊張を伴う消化症状。


古典的記載・由来

  • 『奇穴類編』に「治胃気不和、心下痞満、食滞不消」とある。
  • 「痞根」とは、胸腹の痞え(つかえ)の根を治す意である。
  • 古来より胃腸疾患、特に慢性の食積や停滞に効くとされ、「胃脘下兪」と並び称される。


刺鍼法・施灸法

  • 刺鍼: 直刺または斜刺 0.5~1寸。深刺は避け、骨際まで軽く刺入。
  • 施灸: 艾炷灸3~7壮、または温灸5~10分。慢性消化器疾患には温灸が特に有効。
  • 注意: 深刺すると腰部筋膜炎などの刺激となる場合があるため、柔らかく刺す。


臨床のコツ・刺鍼コンビネーション


※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。

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