中脘まとめ:効能・取穴・関連症状
名称
- 和名:中脘(ちゅうかん)
- 経穴:任脈(CV12)
- 英名:Zhongwan (CV12)
取穴(位置・取り方)
- 前正中線上、臍(CV8)と胸骨体下端(CV16)を結ぶ線の中点。
- 臍上4寸に位置する。
- 触診:仰臥位で腹部を軽く弛緩させ、みぞおちと臍を結ぶ線の中央付近を探ると陥凹感がある。
- 覚え方:おへそとみぞおちのちょうど真ん中にあるツボ。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚・皮下組織
- 筋層:腹直筋
- 血管:上腹壁動脈・静脈の枝
- 神経:肋間神経前皮枝
- 深部には胃体・小網など重要臓器が近接するため、過度な深刺に注意。
東洋医学的機能(要点)
- 健脾和胃:胃腸機能を整え、食欲不振・胃もたれ・消化不良に用いる。
- 理気化湿:気滞や湿邪を除き、腹部膨満・下痢・便秘を改善。
- 和中安神:胃腸不快感を鎮め、自律神経の乱れを調整。
- 「胃の募穴」とされ、消化器系治療の中心的経穴。
臨床応用(胃腸疾患など)
- 胃痛・胃炎:中脘+足三里(ST36)+内関(PC6)で胃の調整。
- 慢性胃腸障害:中脘+脾兪(BL20)+胃兪(BL21)で脾胃を補う。
- 便秘・腹部膨満:中脘+天枢(ST25)+大巨(ST27)。
- 臨床例:慢性胃炎、過敏性腸症候群、逆流性食道炎の補助治療。
- その他、自律神経失調を伴う胃腸不調(不安・緊張による胃痛や吐き気)にも応用される。
刺鍼法(安全重視)
- 推奨針サイズ:直径0.16–0.20mm、長さ30–50mm(体格による)。
- 刺入方向と深さ:
- 皮膚に対して垂直または軽い斜刺。
- 約0.5–1.2寸(10–25 mm)を目安に。痩せ型は浅め、肥満体型はやや深め。
- 臓器損傷のリスクがあるため、初心者は特に浅刺を基本とする。
- 操作:軽く捻鍼または雀啄で響きを確認。胃部の膨満感が緩むような得気を狙う。
- 保持時間:10–20分(低周波鍼通電を併用する場合もある)。
- 注意点:深刺による胃や大動脈の損傷リスクがあるため、強い圧痛や異常感覚が出たら直ちに抜鍼して評価する。
禁忌・注意
- 妊婦への強刺激は禁忌:特に妊娠初期は流産リスクがあるため注意。
- 腹部の外傷・術後瘢痕・感染部位では刺鍼を避ける。
- 大動脈瘤・胃潰瘍の急性期などは深刺禁止。
- 抗凝固薬内服者は出血・血腫に注意。
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