名称
- 和名:三陰交(さんいんこう)
- 経穴:足の太陰脾経(SP6)
- 英名:Sanyinjiao (SP6)
取穴(位置・取り方)
- 脛骨内側顆の上縁から指4本分(約3寸)上。
- 脛骨内側縁の後方、脛骨のすぐ後ろの陥凹部に位置する。
- 覚え方:内くるぶしの上から指4本をそろえて置いた高さ、すね骨の内側後方で押して圧痛があるところ。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚・皮下組織
- 筋層:後脛骨筋、長趾屈筋、ヒラメ筋
- 血管:後脛骨動脈・静脈
- 神経:脛骨神経、伏在神経の枝
- 後脛骨動脈・神経が近くを走行するため、深刺時は血管・神経損傷に注意。
東洋医学的機能(要点)
- 脾腎肝の交会穴:消化・循環・内分泌・生殖系の調整に関与。
- 補脾益腎:脾胃を強め、腎気を養う。
- 理血調経:月経不順、月経痛、不妊症に用いられる代表穴。
- 安神寧心:精神不安、不眠、自律神経症状に適応。
- 婦人科領域で最も多用される経穴のひとつ。
臨床応用(婦人科・泌尿器科疾患)
- 月経異常:月経痛・月経不順 → 三陰交+気海(CV6)+関元(CV4)。
- 不妊症:三陰交+太谿(KI3)+中極(CV3)。
- 泌尿器症状:排尿障害・頻尿 → 三陰交+陰陵泉(SP9)。
- 消化器症状:下痢・軟便 → 三陰交+足三里(ST36)。
- その他:不眠、冷え性、更年期症候群、自律神経失調などにも応用。
刺鍼法(安全重視)
- 推奨針サイズ:直径0.16–0.20mm、長さ30–50mm。
- 刺入方向と深さ:
- 皮膚に対して直刺またはやや後方へ斜刺。
- 約1.0–1.5寸(20–30 mm)を目安。
- 深刺は血管・神経損傷のリスクがあるため注意。
- 操作:軽い捻鍼や雀啄で得気を確認。下肢・下腹部への響きが望ましい。
- 保持時間:10–20分程度。婦人科疾患では温灸の併用が有効。
- 注意点:深部に後脛骨動脈・神経があるため、強い放散痛・しびれ・拍動感が出たら抜鍼する。
禁忌・注意
- 妊婦禁忌:陣痛促進作用があるため、妊娠中の使用は禁忌。
- 皮膚炎や感染部位には刺鍼しない。
- 抗凝固薬内服者では血腫に注意。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション(婦人科疾患向け)
- 月経痛:三陰交+気海(CV6)+関元(CV4)で鎮痛と血流改善。
- 不妊症:三陰交+太谿(KI3)+中極(CV3)で腎気補充と子宮環境改善。
- 更年期障害:三陰交+太衝(LR3)+百会(GV20)で自律神経・情緒安定を図る。
- 臨床ヒント:三陰交は「女性のツボ」として常用されるが、消化・泌尿器系にも幅広く応用できる。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。

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