胆嚢点まとめ:効能・取穴・関連症状

名称

  • 和名:胆嚢点(たんのうてん)
  • 経穴:経外奇穴(下肢)
  • 英名:Dan Nang Xue (EX-LE6)


取穴(位置・取り方)

  • 膝外側部、腓骨小頭の下方 1〜2寸、陽陵泉(GB34)の下方約1〜2寸に取る。
  • 腓骨の前縁と後縁の間の陥凹部で、圧痛点を求めて取穴する。
  • 多くの場合、圧痛・硬結・熱感を伴う部位に一致する。


解剖(近接構造)

  • 表層:皮膚、皮下組織。
  • 筋肉:長腓骨筋およびヒラメ筋の境界部。
  • 神経:腓骨神経浅枝。
  • 血管:前脛骨動脈および腓骨動脈の分枝。


東洋医学的作用(要点)

  • 清熱利胆: 胆経の熱を清め、胆の疏泄を促進する。
  • 疏肝理気: 肝胆の気を調え、胸脇・消化系の停滞を除く。
  • 化湿消滞: 湿熱を去り、胆石・黄疸・右脇痛を改善する。


主な適応

  • 胆石症・胆のう炎。
  • 肝胆湿熱による右脇痛、胸脇苦満。
  • 黄疸。
  • 消化不良・悪心・嘔吐。
  • 下肢外側の疼痛・痙攣。


古典的記載・由来

  • 『奇穴類編』など後世の医書に見える奇穴で、胆のう疾患に特効があるとされた。
  • 中国語で「胆囊穴」「胆囊点」とも記載され、「胆のうの反応点」として臨床的に確立。
  • 臨床上、圧痛が強い場合は胆のう疾患や胆道系の不調と関連が深いとされる。


刺鍼法・施灸法

  • 刺鍼: 直刺または斜刺 1〜1.5寸程度。筋層に達するように刺入。
  • 灸法: 艾炷灸3〜5壮または温灸可。
  • 注意: 深刺時に腓骨神経を刺激しないよう、角度・深度に注意する。


臨床のコツ・刺鍼コンビネーション

  • 胆嚢点は、胆のう疾患や肝胆湿熱症状の治療において、最も代表的な経外奇穴の一つです。 右脇痛・黄疸・胆石発作など、胆経の機能失調に伴う症状に広く用いられます。
  • ① 胆石症・胆のう炎:胆嚢点(EX-LE6)+陽陵泉(GB34)日月(GB24)期門(LR14)→ 肝胆を疏通し、胆道のうっ滞・炎症を軽減する。
  • ② 黄疸・湿熱:胆嚢点(EX-LE6)+章門(LR13)大椎(GV14)太衝(LR3)→ 肝胆の熱を清め、湿熱の排泄を促す。
  • ③ 右脇痛・胸脇苦満:胆嚢点(EX-LE6)+期門(LR14)支溝(TE6)合谷(LI4)→ 肝胆の気滞を解消し、脇痛・胸部圧迫感を緩和。
  • ④ 消化不良・嘔吐:胆嚢点(EX-LE6)+中脘(CV12)内関(PC6)足三里(ST36)→ 胆汁分泌を助け、胃腸の働きを調える。
  • ⑤ 下肢外側の筋攣・疼痛:胆嚢点(EX-LE6)+陽陵泉(GB34)環跳(GB30)風市(GB31)→ 胆経の通行を良くし、下肢外側の痛み・痙攣を改善。
  • 胆嚢点は、胆のうや肝胆経の「反応点」として診断的にも治療的にも重要です。 圧痛や硬結の強さが、胆のうの機能変化の指標となることもあります。


※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。

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