合谷まとめ:効能・取穴・関連症状
名称
- 和名:合谷(ごうこく)
- 経穴:手の陽明大腸経(LI4)
- 英名:Hegu (LI4)
取穴(位置・取り方)
- 母指と示指の骨間、第一・第二中手骨の合する部分のやや母指側(指の付け根のやや背側)、第2中手骨の中央付近で触れて最も陥凹する点。
- 覚え方:親指と示指を軽く合わせたときに現れる最も高い位置のくぼみの中央付近。
解剖(近接構造)
- 表層には皮膚と皮下組織、筋層では第一背側骨間筋/短母指外転筋の付近。
- 近くを浅枝の知覚神経や表在血管が走行するため、刺鍼時は出血や知覚刺激に注意する。(※触診で圧痛点や陥凹を確認してから刺入すること)
東洋医学的機能(要点)
- 気を通じて全身の気血を調整(気滞を散らす)
- 発汗・解熱・解表(風邪症状や発熱に用いる)
- 鎮痛・醒神(頭痛、歯痛、顔面痛、めまいなどに広く用いられる)
- 合谷は「四総穴」のように鎮痛効果を持つ代表穴として臨床で多用される
臨床応用(テニス肘など)
- 鎮痛(遠隔穴):局所(外側上顆)への刺鍼に加え、合谷を併用することで鎮痛効果を上げる。
- 組合せ例(テニス肘):合谷(LI4)+外関(SJ5)+手三里(LI10)+曲池(LI11)+圧痛点(阿是穴)(外側上顆周囲)
- 期待される効果:疼痛軽減、筋緊張緩和、握力改善、可動域拡大
- 他の適応例:頭痛、顔面痛、歯痛、鼻疾患、消化器症状、自律神経調整など
- 灸併用例:消化器症状がある場合は合谷に知熱灸を軽く加えると鎮痛+体質改善効果が増す
刺鍼法(安全重視)
- 推奨針サイズ:直径0.12–0.18mm、長さ25–40mm(体格により調整)
- 刺入方向と深さ(初心者向け):
- 皮膚に対して**垂直(直刺)**に刺入し、深さ 約0.3–0.6寸(約3–8 mm) を目安に。体格や圧痛の有無で調整。やせ型は浅め、肥満気味はやや深め。
- 臨床書では 0.5–1.0寸 とされることが多いが、初心者は浅刺しで反応を確認すること。
- 操作:軽く捻鍼や雀啄で響き(得気)を確認。鎮痛を狙うならやや強めの刺激(得気あり)や電気鍼(低周波)を併用することがある。
- 保持時間:通常10–20分程度(症例や手法により変動)。電気鍼の場合は5–20分。
- 注意点:浅い位置に表在血管があることがあるので刺鍼中の出血に注意。強い刺入や誤刺で神経刺激(強い電撃痛)が出る場合は直ちに抜鍼し評価。
禁忌・注意
- 妊婦禁忌:陣痛促進作用があるとされるため、妊娠中(特に初期および分娩間近)の使用は避ける。
- 皮膚感染や創傷部位には刺鍼しない。
- 抗凝固薬内服者は出血リスクを考慮する。
- 刺鍼中に電撃痛や強い異常感覚が出たら直ちに抜針して評価する。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション(テニス肘向け)
- 局所+遠隔の併用が効果的:外側上顆周辺の圧痛点(阿是穴)に浅〜中刺、同時に合谷に刺激を入れて分節反射・鎮痛を増強する。
- 電気鍼の使用:合谷と外関や手三里をつないで低周波をかけると鎮痛効果が高まりやすい。
- 徒手療法との併用:筋膜リリースやストレッチ、下肢の足三里で全身調整を行うと再発予防に貢献する。
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