名称
- 和名:環跳(かんちょう)
- 経穴:足の少陽胆経(GB30)
- 英名:Huantiao (GB30)
取穴(位置・取り方)
- 股関節部、大転子の最も高い点と仙骨裂孔(正中仙骨稜の第4仙骨孔)を結ぶ線上の1/3点に取穴。
- 臨床では、患者を側臥位にし、股関節を屈曲させて取ると分かりやすい。
- 坐骨神経痛や股関節疾患に広く応用される要穴。
解剖(近接構造)
- 皮下に大殿筋。
- 深層に中殿筋・梨状筋。
- 坐骨神経が通過するため、刺鍼時に強い響きが起こることがある。
- 支配神経:下殿神経、坐骨神経。
- 血管:下殿動脈・静脈。
東洋医学的機能(要点)
- 祛風除湿:下肢の風湿痺症を除去。
- 舒筋活絡:筋肉を和らげ、経絡を通じさせる。
- 止痛利腰脚:腰痛や下肢痛の要穴。
臨床応用(関連症状)
- 坐骨神経痛:下肢に放散する神経痛の第一選穴。
- 股関節疾患:股関節炎・関節症・可動域制限。
- 腰部疾患:腰痛・腰椎椎間板ヘルニア。
- 下肢疾患:下肢の麻痺・筋萎縮・半身不随。
刺鍼法(安全重視)
- 推奨針サイズ:直径0.25–0.30mm、長さ50–75mm
- 刺入方向と深さ:
- 直刺:2–3寸(約50–75mm)で深刺可。
- 坐骨神経に響きを伝えるように刺鍼すると効果的。
- 操作:瀉法主体で、硬直・神経痛には捻鍼を加える。
- 保持時間:15–25分。
- 灸の使用:冷えを伴う坐骨神経痛に有効。棒灸・台座灸を用いる。
禁忌・注意
- 坐骨神経を損傷しないように注意(過度の刺激でしびれ・神経損傷のリスク)。
- 血管や神経への強い圧迫は避ける。
- 筋肉の硬結部に刺鍼する際は、過剰な刺激を控える。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
- 坐骨神経痛:環跳(GB30)+殷門(BL37)+承扶(BL36)。
- 股関節炎・運動制限:環跳(GB30)+秩辺(BL54)+陽陵泉(GB34)。
- 腰痛・椎間板ヘルニア:環跳(GB30)+腰陽関(GV3)+大腸兪(BL25)。
- 下肢麻痺・筋萎縮:環跳(GB30)+足三里(ST36)+陽陵泉(GB34)。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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