名称
- 和名:尺沢(しゃくたく)
- 経穴:手の太陰肺経(LU5)
- 英名:Chize (LU5)
取穴(位置・取り方)
- 肘窩横紋上、上腕二頭筋腱の橈側陥凹部に取穴。
- 肘を軽く屈曲し、上腕二頭筋腱の外側を押すと陥凹が触れやすい。
- 「肺経の合穴」「水穴」として呼吸器疾患や上肢の熱証に応用。
解剖(近接構造)
- 皮下に橈側皮静脈。
- 深部には腕橈筋・円回内筋。
- 支配神経:筋皮神経・橈骨神経。
- 血管:橈側側副動脈、橈側返静脈。
東洋医学的機能(要点)
- 清肺降逆:肺熱を清し、咳嗽・喘息を鎮める。
- 止咳化痰:痰熱や咳を鎮める。
- 疏風泄熱:外感風熱の発熱・咽頭痛に。
- 通絡止痛:肘関節痛や前腕の麻痺に。
臨床応用(関連症状)
- 呼吸器疾患:咳嗽・気管支炎・喘息・喀血。
- 熱性疾患:発熱・咽頭痛・扁桃炎。
- 運動器疾患:肘関節炎・テニス肘・前腕の運動障害。
- 全身症状:消耗性疾患に伴う口渇・多汗。
刺鍼法(安全重視)
- 推奨針サイズ:直径0.16–0.25mm、長さ30–40mm
- 刺入方向と深さ:
- 直刺:0.5–1.0寸(約15–25mm)。
- 深刺は避け、血管損傷に注意。
- 操作:清熱・瀉法を行うことが多い。痰や咳嗽には軽捻法。
- 保持時間:10–20分。
- 灸の使用:虚寒性の咳嗽には台座灸や棒灸を併用可。
禁忌・注意
- 動脈・静脈が近接するため深刺に注意。
- 小児や虚弱体質には浅刺で対応する。
- 出血傾向のある患者では刺鍼を避けるか慎重に行う。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
- 咳嗽・喘息:尺沢(LU5)+肺兪(BL13)+列缺(LU7)。
- 咽頭痛・扁桃炎:尺沢(LU5)+合谷(LI4)+少商(LU11)。
- 肘関節痛:尺沢(LU5)+曲池(LI11)+手三里(LI10)。
- 発熱・外感風熱:尺沢(LU5)+大椎(GV14)+風池(GB20)。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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