名称
- 和名:志室(ししつ)
- 経穴:足の太陽膀胱経(BL52)
- 英名:Zhishi (BL52)
取穴(位置・取り方)
- 腰部、第2腰椎棘突起の下縁レベル、腎兪(BL23)の外方3寸に取穴。
- 腰眼の少し内側に位置し、腰背部の緊張点として触れやすい。
- 「意志の室」と呼ばれ、腎気・精神面の調整に関わる重要穴。
解剖(近接構造)
- 皮下に広背筋、最長筋。
- 深部には腰背筋群・腰椎横突起。
- 支配神経:腰神経後枝。
- 血管:腰動脈枝。
東洋医学的機能(要点)
- 補腎益精:腎気を助け、生殖力や生命力を強化する。
- 健腰強膝:腰痛・下肢の脱力感に有効。
- 安神寧志:不眠や不安感、意志力の低下に対して用いる。
臨床応用(関連症状)
- 泌尿生殖系疾患:インポテンツ・遺精・不妊。
- 運動器疾患:腰痛・坐骨神経痛・下肢の無力。
- 精神神経症状:不眠・健忘・意志薄弱・神経衰弱。
- 全身虚弱:慢性疲労・老化による腎虚症状。
刺鍼法(安全重視)
- 推奨針サイズ:直径0.25–0.30mm、長さ40–50mm
- 刺入方向と深さ:
- 直刺:0.5–1.0寸(約15–25mm)。
- 深刺で内臓損傷の危険は少ないが、過度に深く刺さない。
- 操作:補法・平補平瀉いずれも可。腎虚には補法。
- 保持時間:10–20分。
- 灸の使用:腰痛や腎虚症状には棒灸・台座灸が有効。
禁忌・注意
- 特に重大な刺鍼禁忌は少ないが、過度の強刺激は腰部の筋緊張を悪化させることがある。
- 炎症性腰痛(急性腰痛症)では強刺激を避ける。
- 妊娠中の腰部への強刺激は控える。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
- 腰痛・坐骨神経痛:志室(BL52)+腎兪(BL23)+委中(BL40)。
- 生殖機能低下・不妊:志室(BL52)+関元(CV4)+三陰交(SP6)。
- 不眠・精神疲労:志室(BL52)+心兪(BL15)+印堂(EX-HN3)。
- 腎虚による慢性疲労:志室(BL52)+太谿(KI3)+命門(GV4)。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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