委中まとめ:効能・取穴・関連症状

名称

  • 和名:委中(いちゅう)
  • 経穴:足の太陽膀胱経(BL40)
  • 英名:Weizhong (BL40)


取穴(位置・取り方)

  • 膝関節後面、膝窩横紋の中央に位置。
  • 膝を軽く曲げると膝窩横紋が明瞭になり、その中央で脈動部位を避けたところを取穴。


解剖(近接構造)

  • 皮下には小伏在静脈・膝窩静脈・膝窩動脈が走行する。
  • 深部には脛骨神経が通過するため、深刺は要注意。
  • 膝窩動脈の拍動を確認し、刺鍼時は避けること。


東洋医学的機能(要点)

  • 腰背部の痛みを治す(腰痛の要穴、「腰背は委中に求む」と言われる)
  • 血を涼しくする(清血作用:湿熱による皮膚病に用いられる)
  • 経絡を通じる(下肢の痺れや麻痺に適応)


臨床応用(腰痛・膝窩症状など)

  • 急性腰痛:ぎっくり腰や強い腰痛時に用いられる。
  • 下肢症状:坐骨神経痛、下肢のしびれ・麻痺。
  • 皮膚疾患:湿疹・蕁麻疹・丹毒など、湿熱を伴う皮膚疾患。
  • 膝窩部の痛み:膝裏のこわばりや違和感に適応。


刺鍼法(安全重視)

  • 推奨針サイズ:直径0.16–0.25mm、長さ30–50mm
  • 刺入方向と深さ
    • 直刺で0.5–1.0寸(約10–25mm)。
    • 深刺すると膝窩動脈や脛骨神経を損傷する危険があるため、浅めに刺入すること。
  • 操作:軽度の捻鍼で響きを得る。腰痛には両側同時に刺鍼することが多い。
  • 保持時間:10–15分程度。
  • 灸の使用:皮膚疾患や冷えを伴う下肢症状では棒灸や温灸がよく用いられる。


禁忌・注意

  • 深刺による動脈・神経損傷に注意。
  • 動脈拍動部には直接刺入しない。
  • 炎症や皮膚疾患の活動期は灸を避ける。


臨床のコツ・刺鍼コンビネーション(腰痛向け)

  • 急性腰痛:委中+腎兪(BL23)+大腸兪(BL25) → 強い腰痛に有効。
  • 坐骨神経痛:委中+承山(BL57)+殷門(BL37) → 下肢後面の放散痛に対応。
  • 慢性腰痛:委中+足三里(ST36)太谿(KI3) → 下肢強壮と腎虚補助を兼ねる。
  • 灸の応用:冷えによる腰背痛や下肢のこわばりには委中への温灸が有効。

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