殷門まとめ:効能・取穴・関連症状

名称

  • 和名:殷門(いんもん)
  • 経穴:足の太陽膀胱経(BL37)
  • 英名:Yinmen (BL37)
  • 意味:殷は大きい・盛ん、門は出入り口を意味し、「気血の盛んな門戸」と解釈される。


取穴(位置・取り方)

  • 大腿後面、殿溝(殿裂)の下端と膝窩横紋との線上。
  • 承扶(BL36)委中(BL40)を結んだ線の下から 6寸の部に取る。
  • 大腿二頭筋と半腱様筋の間に位置する。


解剖(近接構造)

  • 表層:皮膚、皮下組織。
  • 筋肉:大腿二頭筋、半腱様筋。
  • 神経:坐骨神経の走行部に極めて近接。
  • 血管:大腿深動脈の筋枝。


東洋医学的機能(古典的記載)

  • 腰背・下肢を通じる:坐骨神経痛様の症状や下肢の麻痺に応用。
  • 経絡の疏通:足の太陽膀胱経の気血を調整する要穴。
  • 疼痛の緩和:腰痛・下肢痛の改善を図るために使用された。


古典的応用例

  • 『鍼灸甲乙経』:腰痛、股内廉痛(股の内側の痛み)、下肢麻痺に用いると記載。
  • 『千金方』:坐骨神経痛様の臀部から大腿後面の放散痛に有効とされる。
  • 『鍼灸大成』:下肢痿痺(下肢の萎え、筋力低下)、足の不随、転筋(こむら返り)への応用例を記載。
  • 腰背と下肢をつなぐ要所として、特に「腰痛から下肢に放散する痛み」に適する穴とされた。


刺鍼法(古典的記載・参考)

  • 刺入方向:坐骨神経の走行を避け、やや外側または内側に向ける。
  • 刺入深度:1〜1.5寸程度。
  • 注意点:坐骨神経を直刺すると強い放散痛を生じるため、必ず角度を調整する。
  • 灸法:慢性腰痛や下肢痿痺に灸が用いられた。

※古典的記載を教育的資料としてまとめています。実際の施術は有資格者の判断が必要です。



禁忌・注意

  • 坐骨神経が直下を通るため、強刺激は禁忌。
  • 急性炎症や腫脹がある場合は施術を避ける。
  • 出血や血腫を避けるため、血管走行に留意。


臨床のコツ・組み合わせ(古典的視点)

※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。

0 件のコメント:

コメントを投稿