名称
- 和名:承扶(しょうふ)
- 経穴:足の太陽膀胱経(BL36)
- 英名:Chengfu (BL36)
- 意味:「承」は受ける、「扶」は支える意。臀部にあり、体重を支え下肢に力を伝える意義から命名されたとされる。
取穴(位置・取り方)
- 殿溝(殿裂)の下端、大腿後面に取る。
- 大腿二頭筋と半腱様筋の間、坐骨結節の直下に位置する。
- 患者を伏臥させ、臀部と大腿の境目にある殿溝を目安に探る。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋肉:大臀筋、ハムストリング(大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋)。
- 神経:坐骨神経が直下を走行。
- 血管:下殿動脈・下殿静脈の枝。
東洋医学的機能(古典的記載)
- 腰臀を舒展:腰臀部のこわばり・痛みを和らげる要穴。
- 下肢を強壮:下肢痿痺や筋肉の無力感に応用。
- 経脈疏通:足太陽膀胱経の経気を通じ、坐骨神経痛様症状の調整に用いられる。
古典的応用例
- 『鍼灸甲乙経』:腰痛、坐骨神経痛様の下肢痛、痿痺に使用。
- 『外台秘要』:臀部から大腿後面への痛みに対して刺鍼例がある。
- 『鍼灸大成』:坐骨神経痛や痿痺の主要穴として記載。特に「臀部から脚にかけての気血の滞りを解く」とされる。
- 古くから「腰臀の要穴」として腰下肢の痛みに広く使われてきた。
刺鍼法(古典的記載・参考)
- 刺入方向:やや外下方または内下方へ向ける。
- 刺入深度:1〜1.5寸程度。
- 注意点:坐骨神経直上に位置するため、直刺で深く刺すと強い放散痛を生じる可能性がある。
- 灸法:慢性腰痛や下肢無力感に対して施灸例がある。
※古典的記載を教育的資料としてまとめています。実際の施術は必ず有資格者が判断してください。
禁忌・注意
- 坐骨神経が直下を走るため、強刺激は禁忌。
- 血管の損傷や血腫形成に注意する。
- 急性炎症や感染部位には使用を避ける。
臨床のコツ・組み合わせ(古典的視点)
- 坐骨神経痛:殷門(BL37)、委中(BL40)、承山(BL57)と併用し、下肢後面に広がる放散痛の調整を図る。
- 腰痛:腎兪(BL23)、大腸兪(BL25)、環跳(GB30)と組み合わせ、腰臀部から下肢にかけての痛みを緩和。
- 下肢痿痺・筋力低下:伏兎(ST32)、陽陵泉(GB34)、足三里(ST36)とあわせ、下肢筋群の機能回復を目指す。
- 臀部のこわばり:秩辺(BL54)、環跳(GB30)とともに施術し、臀部緊張の緩和を図る。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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