名称
- 和名:上髎(じょうりょう)
- 経穴:足の太陽膀胱経(BL31)、八髎穴のひとつ
- 英名:Shangliao (BL31)
- 意味:「髎」は骨の隙間を意味し、仙骨孔に取る穴であることから名付けられた。「上髎」は最も上方にある髎穴を指す。
取穴(位置・取り方)
- 仙骨部、第1仙骨後孔に取る。
- 後正中線(督脈)から外方1.5寸、仙骨正中嵴の外側に位置する。
- 仙骨孔の最上部(第1仙骨後孔)を触知して取穴する。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋肉:大殿筋の深層。
- 神経:仙骨神経後枝、第1仙骨神経。
- 血管:仙骨外側動脈・静脈の枝。
東洋医学的機能(古典的記載)
- 腰臀を舒展:腰臀部や仙骨周囲の痛みに応用。
- 下焦の調整:泌尿器・婦人科系の症状に用いられる。
- 経気を通じる:八髎穴の一つとして、下肢や骨盤腔の気血循環を整えるとされる。
古典的応用例
- 『鍼灸甲乙経』:腰痛、下肢痿痺、月経不調、帯下に用いると記載。
- 『千金方』:小便不利、遺尿、婦人の難産に応用例あり。
- 『鍼灸大成』:腰臀部痛、下肢麻痺、泌尿器・婦人科疾患に広く使われるとされる。
- 八髎穴の中でも「生殖・泌尿と最も関わり深い」と記される場合が多い。
刺鍼法(古典的記載・参考)
- 刺入方向:仙骨孔に直刺、またはやや内下方へ斜刺。
- 刺入深度:0.8〜1.2寸程度。
- 注意点:仙骨孔内に刺入するため、神経刺激による放散感が出やすい。
- 灸法:慢性腰痛や婦人科疾患に応用された。
※古典記載に基づく教育的整理です。実際の施術は必ず有資格者の判断で行ってください。
禁忌・注意
- 仙骨神経叢が近接するため、強刺は避ける。
- 妊婦への過度刺激は控える。
- 感染・炎症部位には施術しない。
臨床のコツ・組み合わせ(古典的視点)
- 腰臀痛:次髎(BL32)、秩辺(BL54)、環跳(GB30)と組み合わせ、腰臀部から下肢にかけての痛みを調整。
- 婦人科疾患:次髎(BL32)、中極(CV3)、子宮(EX-CA1)とあわせ、月経不順や帯下、難産の補助に用いられるとされた。
- 泌尿器症状:膀胱兪(BL28)、中極(CV3)、水道(ST28)と併用し、小便不利や遺尿への応用例がある。
- 下肢痿痺:殷門(BL37)、委中(BL40)、陽陵泉(GB34)と組み合わせ、下肢筋力低下の改善を図る。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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