名称
- 和名:中髎(ちゅうりょう)
- 経穴:足の太陽膀胱経(BL33)、八髎穴のひとつ
- 英名:Zhongliao (BL33)
- 意味:「髎」は骨の隙間を意味し、仙骨孔に取る穴であることから命名。「中髎」は八髎穴の中で中間に位置するためこの名がある。
取穴(位置・取り方)
- 仙骨部、第3仙骨後孔に取る。
- 後正中線(督脈)から外方1.5寸に位置する。
- 仙骨正中嵴から外方に向けて指を滑らせ、第3仙骨後孔を触知して取穴。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織、大殿筋。
- 神経:第3仙骨神経(S3)後枝、仙骨神経叢。
- 血管:仙骨外側動脈の枝。
東洋医学的機能(古典的記載)
- 腰臀を舒展:腰痛・臀部痛の調整に用いられる。
- 下焦を調整:泌尿器・婦人科系の症状に応用。
- 経気を通じる:八髎穴の中心に位置し、気血の流れを整えるとされた。
古典的応用例
- 『鍼灸甲乙経』:腰痛、下肢痿痺、婦人の月経不調に用いると記載。
- 『千金要方』:小便不利、遺尿、難産に対して応用された。
- 『鍼灸大成』:腰臀部痛、下肢の麻痺や痿痺、月経不調・帯下など婦人科疾患への利用が記される。
- 特に「腰痛・下肢麻痺と婦人科疾患の双方に効果的」と強調されることが多い。
刺鍼法(古典的記載・参考)
- 刺入方向:仙骨孔に直刺、または内下方へ向けて斜刺。
- 刺入深度:0.8〜1.2寸程度。
- 注意点:仙骨神経叢に近接するため、神経刺激による放散痛が出やすい。
- 灸法:慢性腰痛や婦人科疾患の補助療法として記載あり。
※古典的記載を教育的資料としてまとめています。実際の施術は必ず有資格者の判断で行ってください。
禁忌・注意
- 坐骨神経や仙骨神経叢が近く、強刺激は禁忌。
- 妊婦への施術は慎重を要する。
- 感染・炎症部位は避ける。
臨床のコツ・組み合わせ(古典的視点)
- 腰臀部痛:上髎(BL31)、次髎(BL32)、下髎(BL34)、秩辺(BL54)と組み合わせ、仙骨部〜腰臀部の疼痛を緩和。
- 婦人科疾患:次髎(BL32)、子宮(奇穴)、関元(CV4)と併用し、月経痛・月経不順・帯下に応用例がある。
- 泌尿器症状:膀胱兪(BL28)、中極(CV3)、三陰交(SP6)と組み合わせ、小便不利・遺尿の調整を図る。
- 下肢痿痺・麻痺:殷門(BL37)、委中(BL40)、陽陵泉(GB34)と合わせ、下肢の運動障害に使用された。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
0 件のコメント:
コメントを投稿