名称
- 和名:下髎(げりょう)
- 経穴:足の太陽膀胱経(BL34)、八髎穴のひとつ
- 英名:Xialiao (BL34)
- 意味:「髎」は骨の隙間を意味し、仙骨孔に取る穴であることから命名。「下髎」は八髎穴の中で最も下位にあるためこの名がある。
取穴(位置・取り方)
- 仙骨部、第4仙骨後孔に取る。
- 後正中線(督脈)から外方1.5寸に位置する。
- 仙骨正中嵴から外方に向けて触知し、第4仙骨後孔に取穴。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織、大殿筋。
- 神経:第4仙骨神経(S4)後枝、仙骨神経叢の枝。
- 血管:仙骨外側動脈の枝。
東洋医学的機能(古典的記載)
- 下焦を調整:泌尿器・婦人科・大腸系の機能を整えるとされる。
- 腰臀を舒展:腰痛・臀部痛・坐骨神経痛に用いられる。
- 経気を通じる:八髎穴の一つとして、気血の滞りを解消するとされた。
古典的応用例
- 『鍼灸甲乙経』:腰痛、下肢の痿痺、遺尿、便秘に用いると記載。
- 『千金要方』:小便不利、泄瀉、婦人の難産や月経不調に応用された。
- 『鍼灸大成』:腰臀部痛、下肢麻痺、帯下、便秘など幅広い記載あり。
- 特に「小便不利・二便不通」に対する有効穴として頻出。
刺鍼法(古典的記載・参考)
- 刺入方向:仙骨孔に直刺、あるいはやや内下方へ向けて斜刺。
- 刺入深度:0.8〜1.2寸程度。
- 注意点:仙骨神経叢が近接するため、強刺激は神経痛様の放散痛を誘発しやすい。
- 灸法:冷え性・婦人科疾患・慢性腰痛の補助として記載がある。
※古典的記載を教育的資料としてまとめています。実際の施術は必ず有資格者の判断で行ってください。
禁忌・注意
- 強い神経刺激を避けること。
- 妊婦への施術は慎重を要する。
- 感染や炎症部位では使用を避ける。
臨床のコツ・組み合わせ(古典的視点)
- 腰臀部痛・坐骨神経痛:上髎(BL31)、次髎(BL32)、中髎(BL33)、秩辺(BL54)と組み合わせ、仙骨部から臀部〜下肢への放散痛を緩和。
- 泌尿器疾患:膀胱兪(BL28)、中極(CV3)、三陰交(SP6)と組み合わせ、小便不利・遺尿・頻尿の改善を図る。
- 婦人科疾患:子宮(奇穴)、関元(CV4)、次髎(BL32)と併用し、月経痛・帯下・不妊症に応用例がある。
- 便秘・二便不通:天枢(ST25)、大腸兪(BL25)、長強(GV1)と合わせ、大腸機能の調整を目的とする。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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