名称
- 和名:秩辺(ちっぺん)
- 経穴:足の太陽膀胱経(BL54)
- 英名:Zhibian (BL54)
- 意味:「秩」は整う・次第の意、「辺」は境界を指す。仙骨外縁の境界に位置し、腰臀部・下肢を調整する要穴として命名。
取穴(位置・取り方)
- 臀部、殿溝の外端、中殿筋の後縁に取る。
- 第4仙骨孔の高さで、殿溝(臀裂の外側端)上に位置。
- 大殿筋を触知し、その外縁の陥凹部を目安とする。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織、大殿筋。
- 筋肉:大殿筋、中殿筋の後縁付近。
- 神経:坐骨神経(直下を通過)、下殿神経の枝。
- 血管:下殿動脈・静脈。
東洋医学的機能(古典的記載)
- 腰臀部の気血を通す:腰痛・坐骨神経痛に応用。
- 下肢の経脈を疏通:股関節周囲痛・下肢痿痺に用いられる。
- 二便を調整:大小便の異常に関連づけられることもある。
古典的応用例
- 『鍼灸甲乙経』:腰痛・下肢麻痺・小便不利に用いると記載。
- 『鍼灸大成』:坐骨神経痛様の症状、股関節部痛、便秘、遺尿などに応用。
- 『千金要方』:臀部痛や脚気(下肢筋力低下)に配穴された例あり。
- 特に「腰臀部痛と下肢痿痺」に対する効果が強調されている。
刺鍼法(古典的記載・参考)
- 刺入方向:坐骨神経に沿う方向へやや深刺。
- 刺入深度:1.5〜2寸程度。
- 注意点:坐骨神経を直接強く刺激すると放散痛が出るため、適度な刺激量を心がける。
- 灸法:慢性腰痛・冷えを伴う下肢疾患に補助的に用いられる。
※古典的記載を教育的資料としてまとめています。実際の施術は必ず有資格者の判断で行ってください。
禁忌・注意
- 坐骨神経への過剰刺激を避けること。
- 感染・炎症部位では施術を控える。
- 妊婦への強刺激は慎重を要する。
臨床のコツ・組み合わせ(古典的視点)
- 坐骨神経痛・腰臀部痛:承扶(BL36)、殷門(BL37)、委中(BL40)と併用し、腰臀部から下肢後面の痛みを調整。
- 股関節周囲痛:環跳(GB30)、居髎(GB29)と組み合わせ、股関節の可動制限・歩行困難を改善を図る。
- 泌尿器系症状:膀胱兪(BL28)、中極(CV3)、三陰交(SP6)と配穴し、排尿異常に応用される例がある。
- 下肢痿痺:承筋(BL56)、陽陵泉(GB34)とあわせて下肢筋力低下に使用されることがある。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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