飛揚まとめ:効能・取穴・関連症状

名称

  • 和名:飛揚(ひよう)
  • 経穴:足の太陽膀胱経(BL58)、絡穴
  • 英名:Feiyang (BL58)


取穴(位置・取り方)

  • 下腿後外側、崑崙(BL60)の上7寸、アキレス腱外縁と腓骨の間に取る。
  • 膝窩横紋と外果尖を結ぶ線を10等分し、外果尖から3/10の位置にあたる。
  • 膀胱経の絡穴として、経脈の上下を連絡し、虚実を調整する働きがある。


解剖(近接構造)

  • 表層:皮膚、皮下組織。
  • 筋肉:腓腹筋外側頭、ヒラメ筋。
  • 神経:腓腹神経。
  • 血管:小伏在静脈。


東洋医学的機能(要点)

  • 経脈の連絡調整:膀胱経と腎経を結び、虚実のバランスを整える。
  • 鎮痛・通絡:腰背部痛、坐骨神経痛、下肢のしびれに有効。
  • 安神作用:頭痛、めまい、不眠、癲癇に応用。
  • 清熱解毒:痔疾、熱性疾患に応用される。


臨床応用

  • 坐骨神経痛や下肢のしびれには、飛揚(BL58)を承山(BL57)崑崙(BL60)と組み合わせて、経絡の通りを改善します。
  • 頭痛やめまい、不眠には、飛揚(BL58)を申脈(BL62)百会(GV20)と合わせ、頭部の気血を調整し安眠を促します。
  • 痔疾には、飛揚(BL58)を長強(GV1)、承扶(BL36)と併用して、局所循環を改善し疼痛や腫脹を和らげます。
  • 癲癇発作や神経症状には、飛揚(BL58)を太衝(LR3)神門(HT7)と組み合わせて、肝風内動を鎮め精神を安定させます。



刺鍼法(安全重視)

  • 刺入方法:直刺または斜刺で0.5〜1.0寸。
  • 推奨針サイズ:直径0.16〜0.20mm、長さ30〜40mm。
  • 保持時間:10〜20分。
  • 灸法:痔疾や冷えを伴う下肢痛に温灸を加えると有効。


禁忌・注意

  • 深刺で腓腹神経を強く刺激しないように注意。
  • 虚証患者に過度の瀉法を行うと、逆に気虚を悪化させることがある。
  • 妊婦には慎重に適用する。


臨床のコツ・刺鍼コンビネーション

  • 飛揚(BL58)は膀胱経の絡穴であり、虚実のバランス調整に優れた作用を持ちます。
  • 下肢痛・坐骨神経痛では、承山(BL57)崑崙(BL60)との組み合わせが有効で、腰背痛から足までの広範な痛みを改善します。
  • 精神神経症状では、申脈(BL62)百会(GV20)神門(HT7)と合わせると安神効果が高く、不眠や癲癇に応用可能です。
  • 痔疾の治療点としても古来より知られ、長強(GV1)、承扶(BL36)との組み合わせで局所循環改善と鎮痛に効果的です。
  • 飛揚は「膀胱経の流れを補佐し、上下をつなぐ要穴」として活用すると臨床での応用範囲が広がります。

※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。

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