名称
- 和名:跗陽(ふよう)
- 経穴:足の太陽膀胱経(BL59)、郄穴(陽蹻脈)
- 英名:Fuyang (BL59)
取穴(位置・取り方)
- 外果の後下方、崑崙(BL60)の上約3寸に取る。
- アキレス腱の外側縁で、ふくらはぎ下部の陥凹に位置。
- 陽蹻脈の郄穴として、急性の症状に対応する特効穴。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋肉:腓腹筋、ヒラメ筋の外側縁。
- 神経:腓腹神経、外側足背皮神経。
- 血管:小伏在静脈、外果後動脈の枝。
東洋医学的機能(要点)
- 陽蹻脈を調整:不眠、多夢、癲癇発作に用いる。
- 筋肉・関節の強化:腰背部から下肢の痛み・こわばりを緩和。
- 急性症状の抑制:郄穴として急性腰痛や下肢痙攣に特効。
臨床応用
- 急性腰痛や坐骨神経痛には、跗陽(BL59)を委中(BL40)、崑崙(BL60)と併用して鎮痛効果を高めます。
- 下肢のしびれや痙攣には、跗陽(BL59)を陽陵泉(GB34)、承山(BL57)と合わせて、経筋を緩めます。
- 不眠・多夢には、跗陽(BL59)を申脈(BL62)、神門(HT7)と組み合わせて、心腎の不交を改善し安眠を促します。
- 癲癇発作には、跗陽(BL59)を百会(GV20)、太衝(LR3)と併用して、肝風を抑制し痙攣を鎮めます。
刺鍼法(安全重視)
- 刺入方法:直刺0.5〜0.8寸、または斜刺で0.5〜1.0寸。
- 推奨針サイズ:直径0.16〜0.20mm、長さ30〜40mm。
- 保持時間:10〜20分。
- 灸法:冷えを伴う腰痛・下肢痛に温灸を施す。
禁忌・注意
- 深刺ししすぎると腓腹筋を傷める可能性があるため注意。
- 急性腰痛に有効だが、慢性症状には補助的に使用する。
- 妊婦には過度な刺激を避ける。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
- 跗陽(BL59)は陽蹻脈の郄穴として、急性腰背部痛や下肢痙攣、不眠・多夢といった陽蹻脈の症候に幅広く応用できます。
- 腰痛・坐骨神経痛には、委中(BL40)、崑崙(BL60)と組み合わせて即効性を狙い、下肢の痙攣には、陽陵泉(GB34)、承山(BL57)と合わせて経筋を緩めます。
- 精神神経症状では、申脈(BL62)、神門(HT7)との組み合わせがよく、不眠や癲癇発作に有効です。
- 跗陽は「膀胱経の流れを通しつつ、陽蹻脈の異常を調整するポイント」として覚えておくと臨床応用が広がります。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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