名称
- 和名:金門(きんもん)
- 経穴:足の太陽膀胱経(BL63)、八脈交会穴(陽蹻脈)
- 英名:Jinmen (BL63)
取穴(位置・取り方)
- 足外側、第5中足骨粗面の後方、立方骨の下方の陥凹部に取る。
- 京骨(BL64)の後方、崑崙(BL60)と京骨の中間よりやや前方で触れる陥凹部。
- 膀胱経の「郄穴」、さらに八脈交会穴として陽蹻脈と連絡する要穴。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 骨:第5中足骨粗面、立方骨。
- 神経・血管:外側足背皮神経の分枝、足背静脈網。
東洋医学的機能(要点)
- 急性疼痛の緩解:膀胱経の郄穴として、腰痛や坐骨神経痛などの急性症状に効果的。
- 通絡止痛:頭痛・項強・下肢痛に広く応用。
- 清熱作用:膀胱経に沿った熱症状(頭部の充血、目赤)を和らげる。
- 陽蹻脈を調整:不眠、多夢、癲癇様症状に用いる。
臨床応用
- 急性腰痛や坐骨神経痛には、金門(BL63)を委中(BL40)、崑崙(BL60)と組み合わせて発作的な痛みを鎮めます。
- 頭痛や項強には、金門(BL63)を風池(GB20)、後谿(SI3)と組み合わせ、経絡を疏通し鎮痛作用を高めます。
- 不眠や多夢には、金門(BL63)を申脈(BL62)、神門(HT7)と併用して、陽蹻脈と心神を調整します。
- 癲癇や発作性の痙攣には、金門(BL63)を太衝(LR3)、百会(GV20)と組み合わせ、肝風内動を鎮めます。
刺鍼法(安全重視)
- 刺入方法:直刺または斜刺で0.3〜0.5寸(約10〜15mm)。
- 推奨針サイズ:直径0.14〜0.20mm、長さ15〜30mm。
- 保持時間:10〜15分。急性痛では短時間の強刺激、慢性では軽刺激で持続。
- 灸法:温灸で腰痛や冷えを伴う下肢痛に応用。
禁忌・注意
- 急性症状に即効性があるが、過剰な強刺激は痛みを悪化させる場合がある。
- 妊娠初期には足部への強い刺激を避ける。
- 局所に炎症や外傷がある場合は控える。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
- 金門(BL63)は膀胱経の郄穴であり、急性の痛みや発作性の症状に即効性が期待できます。
- 腰痛や坐骨神経痛には、委中(BL40)、崑崙(BL60)と組み合わせて腰背部から下肢にかけての痛みを緩和します。
- 頭痛・項強には、風池(GB20)、後谿(SI3)と組み合わせて頭頸部の気血を通します。
- 不眠・多夢には、申脈(BL62)、神門(HT7)と合わせて心神安定を図ります。
- 癲癇や発作性の痙攣には、太衝(LR3)、百会(GV20)とともに応用し、肝風を鎮め中枢の興奮を抑えます。
- このように金門(BL63)は「急性痛・発作性症状・精神神経症状」に幅広く対応できる要穴です。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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