名称
- 和名:後谿(こうけい)
- 経穴:手の太陽小腸経(SI3)
- 英名:Houxi (SI3)
取穴(位置・取り方)
- 手掌を軽く握ると小指の尺側に横紋ができ、その末端で第5中手骨頭の後方の陥凹部に取る。
- 小指を曲げてできるシワの終わりを目印にすると分かりやすい。
- 八脈交会穴で「督脈」と通じることでも知られる。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚・皮下組織。
- 筋層:小指外転筋腱の近く。
- 神経・血管:尺骨神経背側枝、手背静脈網が分布。刺鍼時は血管への配慮が必要。
東洋医学的機能(要点)
- 通絡止痛:項背痛、肩こり、腰痛に効果的。
- 清頭目:頭痛、めまい、耳鳴り、目の充血に応用。
- 利関節:指・手・腕のこわばりや関節痛を改善。
- 督脈を調整:脊柱や中枢神経系に関連する症状に幅広く対応。
臨床応用(頭痛・脊椎疾患・神経症状など)
- 頭痛・偏頭痛:後谿(SI3)と風池(GB20)を組み合わせ、頭部の気血を巡らせて痛みを緩和する。
- 頸肩こり・項背痛:後谿(SI3)と申脈(BL62)を合わせ、督脈・陽蹻脈を通じて後頸部の緊張を緩める。
- 腰痛:後谿(SI3)と腎兪(BL23)を組み合わせ、督脈を補い腰部の気血を整える。
- めまいや耳鳴り:後谿(SI3)と太谿(KI3)を組み合わせて腎精を補い、清竅を開く。
- 手指や関節のこわばり:後谿(SI3)と合谷(LI4)を組み合わせて、手関節や指の機能を改善する。
刺鍼法(安全重視)
- 推奨針サイズ:直径0.14–0.20mm、長さ15–30mm。
- 刺入方向と深さ(初心者向け):
- 直刺:0.3–0.5寸(約5–10 mm)。
- 浅めに刺し、強刺激を避ける。
- 保持時間:10–15分。急性症状には軽刺激、慢性症状ではやや長めに置鍼。
- 灸法:温灸や知熱灸で、頸肩痛・腰痛や冷えを伴う症状に有効。
禁忌・注意
- 血管や神経が近いため、深刺・強刺激を避ける。
- 刺鍼中にしびれや痛みが強い場合はただちに抜鍼。
- 手の甲の皮膚は薄いため、灸痕灸は避ける。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
- 頸肩こり・項背痛:後谿(SI3)+申脈(BL62)で督脈・陽蹻脈を調整するのが定法。
- 腰痛:後谿(SI3)+腎兪(BL23)を併用すると効果が高い。
- 頭痛・めまい:後谿(SI3)+風池(GB20)で頭部清竅を開きやすい。
- 手指や関節痛:後谿(SI3)+合谷(LI4)で手部の循環を改善。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。

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