名称
- 和名:委陽(いよう)
- 経穴:足の太陽膀胱経(BL39)、下合穴(三焦の下合穴)
- 英名:Weiyang (BL39)
取穴(位置・取り方)
- 膝窩部、膝窩横紋の外端で、腓骨小頭の内側に取る。
- 大腿二頭筋腱と腓骨小頭の間の陥凹部を触れるとわかりやすい。
- 三焦経と関わりが深く、水分代謝や下肢の疾患に応用される。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋肉:大腿二頭筋腱、腓腹筋外側頭。
- 神経:腓骨神経。
- 血管:外側下膝動脈。
東洋医学的機能(要点)
- 利水作用:三焦の下合穴として水分代謝を調整。
- 通絡・鎮痛:腰痛、下肢痛、膝関節痛に用いる。
- 清熱利湿:小便不利、浮腫、下痢など湿熱の病症に応用。
- 経脈疏通:坐骨神経痛、下肢麻痺に効果的。
臨床応用
- 膝関節痛や下肢のだるさには、委陽(BL39)を委中(BL40)、陽陵泉(GB34)と併用し、下肢関節の運動改善を図ります。
- 浮腫や小便不利には、委陽(BL39)を腎兪(BL23)、三焦兪(BL22)と合わせ、水分代謝の促進を図ります。
- 腰痛や坐骨神経痛には、委陽(BL39)を承山(BL57)、崑崙(BL60)と組み合わせて下肢の経絡を疏通します。
- 下痢や腹満などの消化器症状には、委陽(BL39)を天枢(ST25)、中脘(CV12)と合わせて、消化管の機能を調整します。
刺鍼法(安全重視)
- 刺入方法:直刺または斜刺で0.5〜1.0寸。
- 推奨針サイズ:直径0.16〜0.20mm、長さ30〜40mm。
- 保持時間:10〜15分程度。
- 灸法:冷えや浮腫を伴う場合には温灸が有効。
禁忌・注意
- 腓骨神経に近いため、強い刺激を避ける。
- 出血傾向のある人には慎重に施術する。
- 急性炎症性疾患の際は避ける。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
- 委陽(BL39)は三焦の下合穴であり、特に水分代謝障害や下肢の関節痛のケアに用いられてきました。
- 浮腫や小便不利では、三焦兪(BL22)、腎兪(BL23)と組み合わせて水分の循環を整えます。
- 膝関節痛や下肢のだるさでは、委中(BL40)、陽陵泉(GB34)との併用が有効で、経筋の調整を図ります。
- 腰痛・坐骨神経痛では、承山(BL57)、崑崙(BL60)と組み合わせ、膀胱経の下肢ルートを重点的に通すことで痛みの改善を図ります。
- 腹部症状には、中脘(CV12)、天枢(ST25)を合わせることで、消化器機能と水分代謝を同時に整えることができ、幅広い応用が可能です。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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