名称
- 和名:湧泉(ゆうせん)
- 経穴:足の少陰腎経(KI1)、井穴
- 英名:Yongquan (KI1)
取穴(位置・取り方)
- 足底、足指を屈曲したときに足底中央よりやや前方にできる陥凹部。
- 足底前1/3と後2/3の境目、ほぼ土踏まずの最深部にあたる。
- 腎経の井穴であり、経気の始まる場所として全身の気を引き下げる働きを持つ。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋肉:足底腱膜、短趾屈筋。
- 神経:足底神経の分枝。
- 血管:足底動脈。
東洋医学的機能(要点)
- 引気下行:頭部にのぼった気を引き下げ、のぼせ・頭痛・不眠に効果。
- 意識回復:救急の意識障害、昏厥、てんかん発作時の応急処置として用いる。
- 腎を補う:腎虚による疲労、足腰のだるさ、耳鳴り、めまいに有効。
- 安神作用:不安、不眠、精神的緊張を和らげる。
臨床応用
- 高血圧やのぼせには、湧泉(KI1)を百会(GV20)と組み合わせ、上衝した気を鎮めます。
- 不眠や多夢には、湧泉(KI1)を神門(HT7)、三陰交(SP6)と合わせて安神効果を高めます。
- 意識障害や失神の応急処置には、湧泉(KI1)を水溝(GV26)、合谷(LI4)と併用して蘇生を図ります。
- 腎虚による足腰のだるさやめまいには、湧泉(KI1)を腎兪(BL23)、太谿(KI3)と組み合わせ腎気を補います。
刺鍼法(安全重視)
- 刺入方法:直刺または斜刺で0.3〜0.5寸。
- 推奨針サイズ:直径0.14〜0.20mm、長さ15〜25mm。
- 保持時間:10分前後、軽刺激が望ましい。
- 灸法:足底の冷え、腎虚症状に有効。知熱灸や温灸を用いる。
禁忌・注意
- 足底は皮膚が厚く痛みを感じやすいため、強刺激は避ける。
- 立位での施術は転倒の恐れがあるため、必ず安静位で行う。
- 糖尿病などで末梢循環障害がある場合は慎重に施術する。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
- 湧泉(KI1)は腎経の井穴として気を引き下げる作用に優れています。
- 高血圧やのぼせ、不眠には、百会(GV20)、神門(HT7)、三陰交(SP6)と組み合わせて、気血を鎮め心神を安定させます。
- 腎虚による足腰の衰えや耳鳴り、めまいには、腎兪(BL23)、太谿(KI3)と併用し、腎精を補う施術を行います。
- 意識障害や失神の救急対応では、水溝(GV26)、合谷(LI4)と併用することで蘇生効果を期待できます。 足底という末端の位置を利用して、全身の上衝した気を抑え、体を落ち着かせる働きがあるのが特徴です。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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