名称
- 和名:水溝(すいこう)/人中(にんちゅう)とも呼ばれる
- 経穴:督脈(GV26)
- 英名:Shuigou (GV26) / Renzhong
取穴(位置・取り方)
- 顔面正中線上、人中溝の上1/3と中1/3の移行部に取る。
- 鼻柱基部と上唇の境界部付近にあたり、浅くくぼんだ部分を指で探ると確認しやすい。
- 取穴時は患者を仰臥位にし、頭部を安定させると正確に取れる。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋肉:上唇挙筋、口輪筋の一部。
- 神経:顔面神経の枝(上唇部の表情筋支配)、三叉神経第2枝(上顎神経)の枝。
- 血管:上唇動脈・静脈。
東洋医学的機能(要点・古典的記載)
- 意識を回復する:古典的には「蘇生の要穴」とされ、気絶や昏厥時に用いられた。
- 清熱醒神:熱による神志の乱れを鎮め、心神を清めるとされた。
- 顔面局所の調整:口唇や歯、顔面の経気を通じるとされた。
古典的応用例
- 急救穴:気絶、昏厥、熱病による意識障害。
- 顔面疾患:顔面神経麻痺、口歪み、歯痛。
- 精神神経症状:癲癇、発熱時のせん妄。
- 中風(脳卒中後遺症):意識障害や口角の偏斜に用いられたとされる。
刺鍼法(古典的記載・参考)
- 刺入方向:斜め上方へ刺入。
- 刺入深度:0.3〜0.5寸程度。
- 灸法:ほとんど用いられないが、古典的には少数の記録あり。
- 注意点:顔面の血管・神経が豊富なため、強刺激を避ける。
※本まとめは古典的記載に基づく教育的資料です。実際の施術は必ず有資格者の管理下で行ってください。
禁忌・注意
- 妊婦に対する強刺激は避ける。
- 局所は出血しやすいため、浅刺を基本とする。
- 急救穴としての使用は訓練を受けた専門家に限定される。
臨床のコツ・組み合わせ(古典的視点)
- 急救穴として:気絶・昏厥には中衝(PC9)、湧泉(KI1)と組み合わせて意識回復を図るとされた。
- 顔面麻痺:地倉(ST4)、迎香(LI20)と併用し、口唇周囲の歪みの改善に応用された。
- 精神神経症状:百会(GV20)、神門(HT7)と合わせて心神を安定させる目的で用いられた。
- 歯痛・口腔症状:頬車(ST6)、合谷(LI4)と併用し、口腔領域の調整を図るとされた。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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