肺兪まとめ：効能・取穴・関連症状

名称

• 和名：肺兪（はいゆ）
• 経穴：足の太陽膀胱経（BL13）
• 英名：Feishu (BL13)

取穴（位置・取り方）

• 第3胸椎棘突起下縁（T3）と同じ高さ、後正中線の外方1.5寸に取る。
• 肩甲骨内側縁のやや内側に位置し、触診で圧痛を確認しやすい。
• 呼吸器系の基本兪穴として最重要の一穴。

解剖（近接構造）

• 表層：皮膚・皮下組織・僧帽筋。
• 筋層：菱形筋、最長筋。
• 神経・血管：肋間神経背枝、肋間動脈背枝。
• 深部：肺尖部に近接するため、深刺に注意。

東洋医学的機能（要点）

• 補肺・宣肺：肺気を補い、呼吸機能を高める。
• 止咳平喘：咳嗽・喘息・呼吸困難に有効。
• 外邪の除去：風寒や風熱による咳嗽・発熱に用いる。
• 免疫調整：体表の衛気を強め、感冒予防にも役立つ。

臨床応用（呼吸器疾患・免疫系症状など）

• 感冒・咳嗽：肺兪（BL13）＋列缺（LU7）＋合谷（LI4）で発汗・解表と止咳。
• 喘息・気管支炎：肺兪（BL13）＋尺沢（LU5）＋膏肓（BL43）。
• 慢性呼吸器疾患：肺兪（BL13）＋腎兪（BL23）で補肺益腎。
• 免疫低下・感冒予防：肺兪（BL13）＋大椎（GV14）で衛気を強める。

刺鍼法（安全重視）

• 推奨針サイズ：直径0.16–0.25mm、長さ30–50mm。
• 刺入方向と深さ：
  • 斜刺または平刺で0.5–1.0寸（約10–20mm）。
  • 深刺は禁忌。特に痩せ型の患者では気胸の危険がある。
• 保持時間：10–20分程度。
• 灸法：知熱灸・温灸とも適応。冷えを伴う慢性咳嗽に有効。

禁忌・注意

• 深刺厳禁（気胸の危険）。必ず斜刺・平刺を用いる。
• 灸施術は火傷に注意し、痩身や高齢者では低刺激を推奨。
• 急性高熱時は強刺激を避ける。

臨床のコツ・刺鍼コンビネーション

• 咳嗽・感冒：肺兪（BL13）＋列缺（LU7）＋合谷（LI4）。
• 喘息：肺兪（BL13）＋尺沢（LU5）＋膏肓（BL43）。
• 慢性気管支炎：肺兪（BL13）＋腎兪（BL23）＋膈兪（BL17）。
• 免疫力低下：肺兪（BL13）＋大椎（GV14）＋身柱（BL12）。

※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。