名称
- 和名:少商(しょうしょう)
- 経穴:手の太陰肺経(LU11)、井木穴
- 英名:Shaoshang (LU11)
取穴(位置・取り方)
- 母指(親指)の橈側、爪甲根部の外側で、爪角から約0.1寸に取る。
- 手の肺経の井穴で、経気の出る始まりの部位。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚・皮下組織。
- 神経:母指橈側神経の枝。
- 血管:母指橈側動脈の枝。
- 深部に重要臓器はないが、出血しやすいため鍼の操作に注意。
東洋医学的機能(要点)
臨床応用(呼吸器疾患・咽喉疾患など)
- 咽頭痛や扁桃炎には、少商(LU11)を合谷(LI4)、廉泉(CV23)と組み合わせて用いると、清熱利咽の効果が高まります。
- 急性咳嗽や喘息発作には、少商(LU11)を列缺(LU7)、太淵(LU9)と併用して、宣肺止咳を図ります。
- 高熱や意識障害などの急症では、少商(LU11)を十二井穴(両手両足の井穴)とあわせて刺絡することで、清熱瀉火・意識回復の効果を期待します。
- 精神的ストレスや不眠傾向には、少商(LU11)を魚際(LU10)、神門(HT7)と組み合わせて施術します。
刺鍼法(安全重視)
- 推奨針サイズ:直径0.14–0.16mm、長さ15mm程度の短鍼。
- 刺入方向と深さ:
- 爪甲根部に対して直刺0.1–0.2寸または刺絡。
- 短時間の置鍼、または瀉血(刺絡)を行うことが多い。
- 保持時間:5–10分程度、または瀉血後は速やかに止血。
- 灸法:あまり用いないが、温灸を短時間施す場合もある。
禁忌・注意
- 動脈・毛細血管が豊富で出血しやすいため、刺絡時は十分な止血を行う。
- 鍼の深刺は不要。軽刺激または刺絡で十分。
- 感染予防のため清潔操作を徹底する。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
- 咽頭の急性炎症には、少商(LU11)を合谷(LI4)や天突(CV22)とあわせて刺絡すると効果的です。
- 急性呼吸困難や喘息発作時には、少商(LU11)を列缺(LU7)、太淵(LU9)と組み合わせることで、肺気を通じやすくします。
- 熱病や高熱に伴う意識障害には、十二井穴の刺絡の一環として少商(LU11)を活用すると、瀉火醒神の効果を期待できます。
- 精神的ストレスや不眠症状では、少商(LU11)を魚際(LU10)、神門(HT7)とあわせ、心肺両経を調和させると安眠を助けます。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。

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