名称
- 和名:太淵(たいえん)
- 経穴:手の太陰肺経(LU9)、兪土穴・原穴・脈会
- 英名:Taiyuan (LU9)
取穴(位置・取り方)
- 手関節前外側、橈骨茎状突起と舟状骨の間、長母指外転筋腱の尺側陥凹部
- 手関節掌側横紋の橈側、橈骨動脈の拍動部に取る。
- 親指の付け根にある手首の横ジワの橈側で、脈を感じる部位が目安。
- 肺経の原穴であり、また「脈会」として循環器疾患にも用いられる。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚・皮下組織。
- 筋肉:母指球筋群の近傍。
- 神経:正中神経掌側枝。
- 血管:橈骨動脈が直下を通るため刺鍼時に注意。
東洋医学的機能(要点)
臨床応用(呼吸器疾患・循環器疾患など)
- 慢性の咳嗽や気管支炎には、太淵(LU9)を列缺(LU7)、魚際(LU10)と組み合わせて、宣肺止咳の効果を高めます。
- 動悸や不整脈など循環器症状には、太淵(LU9)を心兪(BL15)、巨闕(CV14)と併用して、脈会として理血安脈を行います。
- 虚弱体質や慢性疲労では、太淵(LU9)を足三里(ST36)、関元(CV4)とあわせて補気強壮を図ります。
- 喘息や呼吸困難には、太淵(LU9)を膏肓(BL43)、肺兪(BL13)と組み合わせて呼吸を安定させます。
刺鍼法(安全重視)
- 推奨針サイズ:直径0.16–0.20mm、長さ25–30mm。
- 刺入方向と深さ:
- 直刺で0.2–0.3寸(約3–7mm)。
- 浅刺を基本とし、橈骨動脈を避けること。
- 保持時間:10–15分。補益目的では弱刺激で長めに置鍼。
- 灸法:冷えや虚弱体質には温灸や知熱灸が有効。
禁忌・注意
- 橈骨動脈の拍動部に位置するため、深刺を避ける。
- 強刺激は血管損傷や血腫の危険がある。
- 刺鍼は必ず拍動を避けて外側または浅めに行う。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
- 慢性咳嗽には、太淵(LU9)を列缺(LU7)、魚際(LU10)とあわせ、肺気を調整して咳を鎮めます。
- 動悸や不整脈には、太淵(LU9)を心兪(BL15)、巨闕(CV14)と組み合わせて、脈を整え循環を改善します。
- 体力低下や虚弱体質には、太淵(LU9)を足三里(ST36)、関元(CV4)と組み合わせ、気血を補い全身の強壮を図ります。
- 呼吸困難や喘息には、太淵(LU9)を肺兪(BL13)、膏肓(BL43)と併用し、肺機能の改善を促します。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。

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