名称
- 和名:天突(てんとつ)
- 経穴:任脈(CV22)
- 英名:Tiantu (CV22)
取穴(位置・取り方)
- 頸部、前正中線上、鎖骨の中央の間(胸骨上窩の中央)に取る。
- 頸を軽く反らし、胸骨柄の上縁にできるくぼみを指標とする。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋肉:広頸筋、胸骨舌骨筋、胸骨甲状筋。
- 神経:頸神経の皮枝、迷走神経の枝。
- 血管:前頸静脈、甲状腺上動脈・静脈の枝。
- 深部:気管、甲状腺峡部。
東洋医学的機能(要点・古典的記載)
- 利咽開音:咽喉の腫れや発声障害を調えるとされた。
- 降逆平喘:気の逆上を鎮め、咳嗽や喘息の改善を図る目的で用いられた。
- 寛胸理気:胸中の鬱滞を和らげると記載される。
古典的応用例
- 咽喉疾患:咽喉の腫痛、嗄声、失声に用いられた。
- 呼吸器疾患:咳嗽、喘息、喉頭部の違和感に応用された。
- 胸部症状:胸悶、気逆による呼吸困難に関連して選穴された。
刺鍼法(古典的記載・参考)
- 刺入方法:まず皮膚を直刺 0.2寸ほどし、次に針先を下方へ向けて胸骨柄の裏側へ沿わせて0.5〜1寸程度斜刺。
- 古典的記載:咽喉閉塞や気逆を鎮める要穴とされた。
- 灸法:まれに施灸が行われることもあったが、熱刺激は慎重を要する部位とされる。
※本記事は古典文献に基づく教育的まとめであり、現代医療の効果を保証するものではありません。天突は気管に近接し危険を伴うため、実際の施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。
禁忌・注意(参考)
- 気管が直下にあるため、深刺や直下への刺入は厳禁。
- 刺入方向は必ず下方またはやや斜めに行うこと。
- 灸は熱刺激による気道への影響を避けるため注意が必要。
臨床のコツ・組み合わせ(古典的視点)
- 咽喉疾患:合谷(LI4)、人迎(ST9)と組み合わせて咽喉の腫痛や発声障害を調整する。
- 喘息・咳嗽:肺兪(BL13)、列缺(LU7)と併用して降気平喘を図る。
- 胸悶・気逆:内関(PC6)、膻中(CV17)と合わせて胸中の鬱滞を調える。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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