期門まとめ：効能・取穴・関連症状

名称

• 和名：期門（きもん）
• 経穴：足の厥陰肝経（LR14）、肝の募穴
• 英名：Qimen (LR14)

取穴（位置・取り方）

• 前胸部、第6肋間、前正中線の外方4寸。
• 乳頭直下の第6肋間を触知し、その高さで前正中線から外方4寸に取る。
• 肝の募穴であり、肝臓・胆嚢の疾患や精神的ストレスに関連が深い。

解剖（近接構造）

• 表層：皮膚・皮下組織。
• 筋層：外肋間筋、内肋間筋。
• 神経・血管：肋間神経、肋間動静脈。
• 深部臓器：肝臓。深刺で臓器損傷の危険がある。

東洋医学的機能（要点）

• 疏肝理気：精神的ストレス、抑うつ、肝気鬱結に対応。
• 調気止痛：脇肋部の張り、痛みを緩和。
• 和胃降逆：悪心、嘔吐、食欲不振に有効。

臨床応用（肝胆疾患・ストレス症状など）

• ストレス性の胸脇部の張りや痛み、肝気鬱結には、期門（LR14）を太衝（LR3）や日月（GB24）と組み合わせることで、肝胆の疏泄を改善し、気滞を和らげます。
• 慢性的な肝疾患や肝胆の機能低下には、期門（LR14）を肝兪（BL18）、胆兪（BL19）とあわせて施術することで、肝胆の働きを調整します。
• 悪心や嘔吐、消化不良に対しては、期門（LR14）を中脘（CV12）、内関（PC6）と組み合わせ、和胃降逆の効果を発揮します。
• 月経不順や月経痛に対しては、期門（LR14）を三陰交（SP6）、関元（CV4）と組み合わせることで、肝経の調整を行い、気血の巡りを改善します。

刺鍼法（安全重視）

• 推奨針サイズ：直径0.16–0.22mm、長さ30–40mm。
• 刺入方向と深さ：
  • 肋間に沿って斜刺0.5–0.8寸。
  • 直刺は禁忌。深刺は肝臓損傷の危険があるため厳禁。
• 保持時間：10–15分程度。
• 灸法：温灸・知熱灸を用いると冷えを伴う肝疾患や慢性症状に適応。

禁忌・注意

• 深刺は絶対に避ける。肝臓損傷の危険がある。
• 肋間動静脈・神経の走行に注意し、過度な刺激を避ける。
• 炎症や急性の高熱時には施灸を控える。

臨床のコツ・刺鍼コンビネーション

• ストレスや情緒不安定による肝気鬱結には、期門（LR14）を太衝（LR3）や三陰交（SP6）と組み合わせて用いると効果的です。
• 慢性的な肝胆疾患や季肋部の不快感には、期門（LR14）を肝兪（BL18）、胆兪（BL19）と併用し、肝胆の疏泄機能を整えます。
• 悪心・嘔吐を伴う胃腸症状には、期門（LR14）を中脘（CV12）、内関（PC6）と組み合わせることで、和胃降逆作用が高まります。
• 月経不順や月経痛には、期門（LR14）を関元（CV4）、三陰交（SP6）と併用し、肝経を通じた血の巡りを調整します。

※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。