胆兪まとめ:効能・取穴・関連症状

名称

  • 和名:胆兪(たんゆ)
  • 経穴:足の太陽膀胱経(BL19)
  • 英名:Danshu (BL19)


取穴(位置・取り方)

  • 第10胸椎棘突起下縁(T10)と同じ高さで、後正中線から外方1.5寸に取る。
  • 脊柱を基準に左右対称に取穴する。
  • 「胆の背兪穴」として、胆経・肝胆の働きと深い関わりを持つ。


解剖(近接構造)

  • 表層:皮膚・皮下組織。
  • 筋層:僧帽筋・広背筋・脊柱起立筋群。
  • 神経・血管:肋間神経背枝、肋間動脈背枝。
  • 深部臓器:右側では肝臓・胆嚢と関連が深い。


東洋医学的機能(要点)

  • 利胆・和胃:胆のう・肝臓の機能を助け、消化を促進。
  • 疏肝解鬱:肝胆気滞による胸脇苦満・情志不快を改善。
  • 清熱利湿:黄疸・苦い口・口渇など湿熱による症状に用いる。
  • 調整三焦:消化・代謝のバランスを整える。


臨床応用(肝胆疾患・消化器疾患・精神神経症状など)

  • 胆嚢炎・胆石症などの胆疾患には、胆兪(BL19)と肝兪(BL18)を組み合わせ、肝胆を同時に調整する。
  • 黄疸や口苦、消化不良には、胆兪(BL19)と中脘(CV12)を組み合わせ、脾胃の働きを助ける。
  • 胸脇苦満やストレスによる不快感には、胆兪(BL19)と陽陵泉(GB34)で疏肝解鬱を図る。
  • めまいや不眠には、胆兪(BL19)と心兪(BL15)を合わせ、心胆両虚を改善。
  • 消化器症状(胃もたれ・腹満)には、胆兪(BL19)と足三里(ST36)を組み合わせ、健胃作用を高める。


刺鍼法(安全重視)

  • 推奨針サイズ:直径0.16–0.25mm、長さ30–50mm。
  • 刺入方向と深さ(初心者向け)
    • 脊柱起立筋に向けて直刺または斜刺、0.5–1寸(約10–20 mm)。
    • 深刺しすぎると胸腔に入る危険があるため、やや外側へ向けて刺入するのが安全。
  • 保持時間:10–20分。肝胆疾患ではやや長めに置鍼。
  • 灸法:温灸・知熱灸が有効。特に慢性肝胆疾患や消化器虚弱に適する。


禁忌・注意

  • 深刺で胸腔を損傷する危険があるため、必ず外方へ斜刺する。
  • 炎症や発熱を伴う急性肝胆疾患には、灸の使用は避ける。
  • 極度のやせ型の患者には特に深刺に注意。


臨床のコツ・刺鍼コンビネーション

※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。

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