肝兪まとめ:効能・取穴・関連症状

名称

  • 和名:肝兪(かんゆ)
  • 経穴:足の太陽膀胱経(BL18)
  • 英名:Ganshu (BL18)


取穴(位置・取り方)

  • 第9胸椎棘突起下縁の高さで、後正中線の外方1.5寸に取る。
  • 肩甲骨下角の高さが第7胸椎、そこから数えて第9胸椎棘突起を指標とすると分かりやすい。
  • 両手で背部を軽く後ろにそらしてもらうと、脊柱の突起を触知しやすい。


解剖(近接構造)

  • 表層:皮膚・皮下組織・僧帽筋・広背筋。
  • 深層:最長筋・肋間筋。
  • 近接神経:肋間神経後枝。
  • 近接血管:肋間動脈後枝。
  • 肝臓と経絡的に関連が深く、背部兪穴の一つ。


東洋医学的機能(要点)

  • 肝気を疏泄(ストレスや気滞による症状に用いる)
  • 血を蔵する作用を調整(血虚や血熱による症状に対応)
  • 目疾患の治療(肝は目に開竅するため、視力障害や眼精疲労に応用)
  • 肝兪は「肝の兪穴」として肝疾患・精神疾患に重要視される。


臨床応用(肝機能障害・眼精疲労など)

  • 肝機能障害・肝炎:肝兪(BL18)を中心に脾兪(BL20)、腎兪(BL23)を組み合わせて施術。
  • 眼精疲労・視力低下:肝兪(BL18)+攅竹(BL2)太陽(EX-HN5)
  • 自律神経失調・ストレス:肝兪(BL18)+内関(PC6)太衝(LR3)
  • 灸併用例:冷えを伴う場合は肝兪に知熱灸を加えることで全身調整効果を高める。


刺鍼法(安全重視)

  • 推奨針サイズ:直径0.16–0.30mm、長さ30–50mm(体格により調整)
  • 刺入方向と深さ(初心者向け)
    • 皮膚に対して斜刺または横刺、深さ約0.5–0.8寸(約10–20mm)。
    • 臨床書では0.5–1.0寸とされる。細身の方は浅めに、安全に取る。
  • 操作:軽く捻鍼、雀啄。響き(得気)は背部で強く出やすいので過剰刺激に注意。
  • 保持時間:通常10–15分程度。
  • 注意点:深刺すると肋膜腔を損傷するリスクがあるため、必ず斜刺・横刺で行う。


禁忌・注意

  • 深刺による気胸リスクあり。必ず斜刺・横刺で安全に操作。
  • 皮膚感染や外傷がある部位は避ける。
  • 体力が低下している患者では刺激量を控えめにする。


臨床のコツ・刺鍼コンビネーション

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