章門まとめ:効能・取穴・関連症状

名称

  • 和名:章門(しょうもん)
  • 経穴:足の厥陰肝経(LR13)、脾の募穴・八会穴(臓会)
  • 英名:Zhangmen (LR13)


取穴(位置・取り方)

  • 側腹部、第11肋骨端の下縁に取る。
  • 体を側屈すると第11肋骨端が触れやすく、その下にある陥凹部に取穴する。
  • 臓会の八会穴として「臓腑調整」の要穴であり、脾の募穴でもある。


解剖(近接構造)

  • 表層:皮膚・皮下組織。
  • 筋層:外腹斜筋・内腹斜筋。
  • 神経・血管:肋間神経・肋間動脈分枝。
  • 深部臓器:脾臓(左側)、肝臓(右側)—深刺時は臓器損傷に注意。


東洋医学的機能(要点)

  • 調和脾胃:消化器全般の調整。
  • 疏肝理気:肝気鬱結による胸脇部の張りや不快感。
  • 臓会の調整:五臓のバランスを整える要穴。
  • 止痛作用:脇肋痛・腹痛の緩和。


臨床応用(消化器疾患・脇腹痛など)

  • 消化器系の不調(食欲不振・腹満・下痢)には、章門(LR13)を中脘(CV12)足三里(ST36)と組み合わせ、脾胃の働きを高めます。
  • 胸脇部の張りや痛みには、章門(LR13)を期門(LR14)内関(PC6)とあわせ、肝気の疏泄を促して症状を改善します。
  • 慢性肝疾患や肝脾腫大を伴う体質改善では、章門(LR13)を肝兪(BL18)脾兪(BL20)と併用し、臓会の八会穴として五臓の調整を行います。
  • 婦人科系の腹痛や月経不順には、章門(LR13)を関元(CV4)三陰交(SP6)と組み合わせ、肝脾腎のバランスを調整します。



刺鍼法(安全重視)

  • 推奨針サイズ:直径0.18–0.22mm、長さ30–40mm。
  • 刺入方向と深さ
    • 肋骨下縁に沿って斜刺、0.5–1.0寸程度。
    • 直下に脾臓・肝臓があるため、深刺は厳禁。
  • 保持時間:10–15分。消化器症状には軽補法、肝気鬱結には軽瀉法が適する。
  • 灸法:虚証タイプの消化器疾患に知熱灸や温灸を併用可能。


禁忌・注意

  • 深刺により脾臓や肝臓を損傷する恐れがあるため、必ず斜刺。
  • やせ型の体型では臓器が浅い位置にあるため特に注意。
  • 急性の脇腹痛で原因不明の場合は、まず医療機関での診断を優先。


臨床のコツ・刺鍼コンビネーション

  • 慢性的な胃腸虚弱では、章門(LR13)に中脘(CV12)足三里(ST36)をあわせ、脾胃を強化します。灸を加えるとより効果的です。
  • ストレスで悪化する胸脇部の張りや痛みには、章門(LR13)を期門(LR14)内関(PC6)と組み合わせ、疏肝理気を中心に施術します。
  • 肝脾腫や慢性肝疾患の体質改善では、章門(LR13)に肝兪(BL18)脾兪(BL20)を加え、臓会として五臓を調整します。
  • 婦人科系の不調では、章門(LR13)を関元(CV4)三陰交(SP6)と組み合わせ、肝脾腎の協調を図り、月経不順や腹痛の改善をめざします。

※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。

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