名称
- 和名:陶道(とうどう)
- 経穴:督脈(GV13)
- 英名:Taodao (GV13)
取穴(位置・取り方)
- 背部正中線上、第1胸椎棘突起下縁に取る。
- 第7頸椎棘突起(大椎)から数えて1椎下の間に位置する。
- 患者を俯臥位にし、頭を前屈させると第1胸椎棘突起が容易に触知できる。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋肉:僧帽筋、棘上筋、脊柱起立筋。
- 神経:第1胸神経後枝。
- 血管:頸横動脈枝、肋間動脈枝。
東洋医学的作用
- 清熱解表: 体表および内部の熱を除く。
- 宣肺平喘: 肺気を通じて喘息や咳嗽を鎮める。
- 安神鎮静: 精神的な興奮を鎮め、不安や不眠を改善する。
- 通絡止痛: 背部や頸部の気血を調え、疼痛を緩和する。
主な適応
- 高熱、悪寒、発熱、瘧疾(マラリア様症状)。
- 咳嗽、喘息、気管支炎、肺結核などの呼吸器疾患。
- 不眠、癲癇、ヒステリー、心煩など精神神経系疾患。
- 項背部痛、肩こり、上背部のこわばり。
刺鍼法(安全上の注意)
- 刺入方向: やや下方または平刺。
- 刺入深さ: 0.5〜1寸(約1.5〜3cm)。
- 灸法: 良導絡異常がある場合は温灸・知熱灸が有効。慢性気管支炎や発熱性疾患に応用。
- 注意: 深刺により胸腔に達する危険があるため、必ず骨を感じる範囲で止める。
古典的応用例
『霊枢・背兪篇』において「陶道は熱病を治す」と記され、
古来より熱邪による諸症(高熱・悪寒・痙攣・煩躁)に用いられてきました。
また、『千金方』では「瘧を治し、寒熱往来を解す」とあり、
マラリア様症状や交替熱に対して陶道が清熱解表の要穴として重視されています。
さらに、陶道は心肺の気を調整し、精神的な高ぶりや不眠にも応用されました。
督脈の流注が脳に上り、神志を統括するため、精神安定に寄与します。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
- 陶道(GV13)は熱を除き、肺気を通じるという性質をもつため、 呼吸器疾患や上半身の熱感、精神興奮に対してよく使われます。 特に「大椎(GV14)」とセットで用いると発熱・風邪初期に顕著な効果を示します。
- ① 発熱・感冒・インフルエンザ初期:陶道(GV13)+大椎(GV14)+合谷(LI4)+列缺(LU7) → 外邪による熱・悪寒・頭痛に。発汗を促し、熱を下げる。
- ② 咳嗽・喘息:陶道(GV13)+肺兪(BL13)+膻中(CV17)+太淵(LU9) → 肺気の滞りを除き、痰熱を鎮める。
- ③ 精神過敏・不眠:陶道(GV13)+神道(GV11)+百会(GV20)+神門(HT7) → 上焦の熱を鎮め、心神を安定させる。
- ④ 慢性上背部痛・肩こり:陶道(GV13)+風門(BL12)+心兪(BL15)+天宗(SI11) → 頸項部から肩甲間部の筋緊張を緩和。
- ⑤ 癲癇・発作性疾患:陶道(GV13)+大椎(GV14)+風府(GV16)+百会(GV20) → 熱邪が上擾し神志を乱すタイプに用いられる古典的組み合わせ。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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