名称
- 和名:神道(しんどう)
- 経穴:督脈(GV11)
- 英名:Shendao (GV11)
取穴(位置・取り方)
- 背部正中線上、第5胸椎棘突起の下縁に取る。
- 肩甲棘の高さに相当する。
- 患者を俯臥位にし、頭を軽く前屈させると棘突起が触れやすい。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋肉:僧帽筋、菱形筋、脊柱起立筋。
- 神経:第5胸神経後枝。
- 血管:肋間動脈後枝、静脈網。
東洋医学的作用(要点)
- 清心安神: 心火を鎮め、精神を安定させる。
- 寧心除煩: 心煩・焦燥・不眠を改善。
- 宣肺清熱: 胸部の熱を冷まし、咳嗽・喘息を鎮める。
- 通絡止痛: 背部の経絡を通じ、疼痛を緩和する。
主な適応
- 心悸亢進、不眠、精神不安。
- 胸痛、動悸、咳嗽、喘息。
- 癲癇、ヒステリー、発熱など。
- 背部のこわばり・肩甲間部の痛み。
刺鍼法(安全重視)
- 刺入方向: やや下方または平刺。
- 刺入深さ: 0.5〜1寸(約1.5〜3cm)。
- 灸法: 温灸・知熱灸ともに可。不眠・神経衰弱などの慢性症状に効果がある。
- 注意: 胸腔に近い部位のため深刺を避ける。細身の患者では特に注意。
古典的応用例
『霊枢・背兪篇』には「神道は心を主る」とあり、 心の乱れを鎮め、神を安んずる穴として古来より重用されてきました。 「熱が心に入り、神志を乱す」状態──たとえば不眠・多夢・焦燥・癲癇──などに対し、 心火を冷まし、精神を落ち着かせる作用があるとされています。 また、心肺の上焦疾患(咳嗽・胸痛・喘息)にも用いられます。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
- 神道(GV11)は精神安定・心火鎮静に優れた督脈の代表穴のひとつであり、 心肺の働きと密接に関わる。背部での上焦調整穴として臨床応用が広い。
- ① 不眠・心悸・神経過敏:神道(GV11)+霊台(GV10)+百会(GV20)+神門(HT7)→ 心火上炎やストレス過多による不眠・焦燥に有効。
- ② 胸痛・動悸:神道(GV11)+心兪(BL15)+内関(PC6)+膻中(CV17) → 心気不足・気滞による胸部不快感に。
- ③ 咳嗽・喘息:神道(GV11)+肺兪(BL13)+大椎(GV14)+太淵(LU9) → 肺熱や痰熱による呼吸器疾患に対応。
- ④ 精神安定・ヒステリー傾向:神道(GV11)+神庭(GV24)+内関(PC6)+涌泉(KI1) → 上焦の熱を下げ、心を静める組み合わせ。
- ⑤ 背部痛・肩甲間部の緊張:神道(GV11)+心兪(BL15)+膈兪(BL17)+天宗(SI11) → 肩甲骨周囲の硬直やコリに有効。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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