名称
- 和名:霊台(れいだい)
- 経穴:督脈(GV10)
- 英名:Lingtai (GV10)
取穴(位置・取り方)
- 背部正中線上、第6胸椎棘突起の下縁に取る。
- 肩甲骨下角(第7胸椎レベル)よりやや上方に位置。
- 患者を俯臥位にし、頭をわずかに前屈させると棘突起間が触れやすい。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋肉:僧帽筋、菱形筋、脊柱起立筋。
- 神経:第6胸神経後枝。
- 血管:肋間動脈後枝、静脈網。
東洋医学的作用(要点)
- 清熱涼血: 熱邪による体表・血分の熱を冷ます。
- 寧心安神: 心火の亢進を鎮め、精神を安定させる。
- 舒筋活絡: 背部の筋緊張をゆるめ、経絡の通りをよくする。
- 宣肺利気: 肺気の上逆や咳嗽を鎮める。
主な適応
- 背部痛、肩甲間部のこわばり。
- 発熱、咳嗽、喘息。
- 癲癇、ヒステリー、神経性疾患。
- 心悸亢進、不眠、精神的緊張。
- 皮膚疾患(発疹・蕁麻疹など)にも応用されることがある。
刺鍼法(安全重視)
- 刺入方向: やや下方または平刺。
- 刺入深さ: 0.5〜1寸(約1.5〜3cm)。
- 灸法: 温灸・知熱灸いずれも可。慢性の咳嗽・背部の冷えに効果がある。
- 注意: 胸腔が近いため深刺を避ける。体格に応じて浅めに行う。
古典的応用例
『霊枢・背兪篇』には「霊台は熱病を治す」とあり、古来より高熱・癲癇・精神不安の治療穴として知られていました。 特に「熱が心に上り、神志を乱す」ときに用いられ、心火を鎮め、神を安んずる作用が重視されています。 また、「肺熱による咳嗽」「背部の拘急」にも応用され、心肺の上焦熱を冷ます重要穴です。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
- 霊台(GV10)は督脈の中でも上焦の熱・心火を冷ます作用に優れ、 精神的緊張やストレスによる自律神経の過敏症状にもよく応用されます。 また、肺と心をつなぐ要穴として、呼吸器系の治療にも効果的です。
- ① 背部痛・僧帽筋周囲の緊張:霊台(GV10)+心兪(BL15)+膈兪(BL17)+肝兪(BL18) → 肝気鬱結やストレスによる背部硬直に有効。
- ② 咳嗽・喘息:霊台(GV10)+大椎(GV14)+肺兪(BL13)+尺沢(LU5) → 肺熱を冷まし、咳・痰・呼吸困難の軽減を図る。
- ③ 精神不安・不眠:霊台(GV10)+百会(GV20)+内関(PC6)+神門(HT7)→ 心火を鎮め、心身のリラックスを促す。
- ④ 高熱・癲癇様症状:霊台(GV10)+筋縮(GV8)+大椎(GV14)+曲池(LI11) → 体熱上昇・けいれんを抑える方向で用いられる。
- 灸療法を併用する際は、慢性の呼吸器疾患や冷えを伴う背部痛に特に有効です。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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