筋縮まとめ:効能・取穴・関連症状

名称

  • 和名:筋縮(きんしゅく)
  • 経穴:督脈(GV8)
  • 英名:Jinsuo (GV8)


取穴(位置・取り方)

  • 背部、第9胸椎棘突起の下方に取る。
  • 第7肋骨と同じ高さで、左右の肩甲骨下角を結ぶ線よりやや上に位置。
  • 背部正中線上にあり、督脈の要穴の一つ。


解剖(近接構造)

  • 表層:皮膚、皮下組織。
  • 筋肉:僧帽筋、広背筋、脊柱起立筋群。
  • 神経:第9胸神経後枝。
  • 血管:肋間動脈後枝。


東洋医学的作用(要点)

  • 舒筋活絡: 筋肉のけいれんや緊張をゆるめる。
  • 疏肝理気: 肝気の鬱滞を除き、肝経の異常な興奮を鎮める。
  • 清熱鎮痙: 高熱や痙攣を鎮める働き。
  • 健脊安神: 背部のこわばりや神経性緊張を和らげ、精神を安定させる。


主な適応

  • 背部痛、肩甲間部のこわばり。
  • 筋肉のけいれん(特に背部・肋間・下肢)。
  • てんかん、ヒステリー、痙攣性疾患。
  • 肝炎、黄疸、肋間神経痛。
  • 心身の緊張、不眠、イライラ。


刺鍼(実践上の注意)

  • 刺入方向: やや下方または平刺。
  • 刺入深さ: 0.5〜1寸(約1.5〜3cm)。
  • 灸法: 有効。温灸や知熱灸により筋緊張緩和・神経鎮静の効果がある。
  • 注意点: 深刺により胸腔を損傷しないよう注意。細身の体型では浅刺を心がける。


臨床のコツ・刺鍼コンビネーション

  • 筋縮(GV8)は督脈の中でも筋肉・神経の異常興奮を鎮める作用に優れた要穴で、 その名の通り「筋の縮み」を治すとされます。 古典『甲乙経』では「痙攣・癲癇を治す」と記されています。
  • ① 背部筋緊張・こわばり:筋縮(GV8)+肝兪(BL18)脾兪(BL20)→ 肝脾不調による筋の弛緩不全を調整。
  • ② てんかん・ヒステリー:筋縮(GV8)+百会(GV20)大椎(GV14)太衝(LR3)→ 肝風内動・痙攣性疾患に応用。
  • ③ 背部痛・肋間神経痛:筋縮(GV8)+膈兪(BL17)肝兪(BL18)陽陵泉(GB34)→ 肝気鬱結や血行障害に伴う背部痛に効果的。
  • ④ 自律神経の緊張緩和:筋縮(GV8)+脊中(GV6)心兪(BL15)内関(PC6)→ 精神的緊張やストレス反応の調整に有効。
  • 温灸や軽度の電気刺激(低周波通電)を併用すると、筋肉緊張の解消に一層効果が上がります。


※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。

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