名称
- 和名:風府(ふうふ)
- 経穴:督脈(GV16)
- 英名:Fengfu (GV16)
取穴(位置・取り方)
- 後正中線上、外後頭隆起直下の陥凹部に取る。
- 両側の僧帽筋上縁の間にあり、髪の生え際よりやや上方に位置する。
- 仰臥位または座位で頭をやや前屈すると陥凹が明瞭となる。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋肉:僧帽筋上部線維、後頭下筋群。
- 神経:大後頭神経、小後頭神経、延髄近接部。
- 血管:後頭動脈・静脈。
- 器官:延髄・脊髄上部に近接するため刺鍼は極めて慎重を要する。
東洋医学的機能(要点・古典的記載)
- 疏風解表:外感の風邪を祓い、頭痛や項強を和らげるとされる。
- 清神開竅:頭部の清明を保ち、意識障害や精神不安に用いられた。
- 利咽開音:咽喉の閉塞や失音に応用された。
- 通絡止痛:項背の強張りや頭痛に有効とされる。
古典的応用例
- 風邪・外感症状:悪風、頭痛、項背強急。
- 咽喉疾患:咽腫、発声困難、失音。
- 神経症状:眩暈、癲癇様症状、半身不随。
- 精神症状:不眠、憂鬱、驚きやすいなど。
- 温病の意識障害:昏厥や意識混濁に対する記載がある。
刺鍼法(古典的記載・参考)
- 刺入方法:0.5〜1寸、やや前下方に向けて平刺または斜刺。
- 深刺は禁忌:延髄に近接するため、垂直深刺は厳禁。
- 古典記載:「中風癲疾、項背拘急」に効果があるとされる。
※本記事は古典的文献に基づく教育的まとめであり、現代医療的効果を保証するものではありません。本穴は延髄に近接するため、刺鍼には高度な熟練が必要です。
禁忌・注意(参考)
- 垂直深刺は延髄損傷の危険があり厳禁。
- 過度な刺激は頭痛やめまいを誘発する可能性がある。
- 体力の弱い患者や小児への施術は慎重に行う。
臨床のコツ・組み合わせ(古典的視点)
- 項背拘急・頭痛:風池(GB20)、天柱(BL10)と組み合わせ、風邪による頭痛や項背の緊張を和らげる。
- 咽喉腫痛・失音:廉泉(CV23)、瘂門(GV15)と併用し、咽閉や発声障害への応用が記載されている。
- 精神・神志不安:百会(GV20)、神門(HT7)と組み合わせ、安神や意識清明を図る。
- 中風・半身不随:合谷(LI4)、足三里(ST36)とあわせ、正気を補い気血の巡りを助ける目的で用いられた。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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