名称
- 和名:瘂門(あもん)
- 経穴:督脈(GV15)
- 英名:Yamen (GV15)
取穴(位置・取り方)
- 後正中線上、項部にあり、第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)の間の陥凹部に取る。
- 外後頭隆起直下の陥凹から、やや下方に位置する。
- 頭部をやや前屈させると、陥凹が明瞭になる。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋肉:僧帽筋上部線維、項靱帯。
- 神経:後頭神経叢、延髄近接部。刺鍼は慎重を要する。
- 血管:後頭動脈・静脈。
- 器官:延髄に近接するため、深刺は禁忌。
東洋医学的機能(要点・古典的記載)
- 清利咽喉:咽喉の腫脹や閉塞感を和らげる目的で用いられた。
- 開竅利舌:言語障害、失語、舌強直の際に応用された。
- 寧神安志:精神的安定を図る目的で選穴されることがあった。
- 疏風解表:風邪による項背のこわばりにも応用された。
古典的応用例
- 言語障害:瘂門の名の通り、失語・発声困難にしばしば用いられた。
- 咽喉疾患:咽腫、咽痛、声のかすれなど。
- 神経症状:頭痛、眩暈、癲癇様症状。
- 精神症状:不安、不眠、ヒステリー症状などの記載もある。
- 項背拘急:うなじや首筋の強張り。
刺鍼法(古典的記載・参考)
- 刺入方法:0.3〜0.5寸、やや下方に向けて平刺または斜刺。
- 深刺は禁忌:延髄に近接するため、決して深く刺してはならない。
- 古典記載:失語・咽腫の際に用いるとされる。
※本記事は古典的文献に基づく教育的まとめであり、現代医療的効果を保証するものではありません。特に本穴は延髄近接部にあるため刺鍼は高度な熟練が必要です。
禁忌・注意(参考)
- 深刺は延髄損傷の危険があり厳禁。
- 強刺激は頭痛や意識消失を招く可能性があるため注意。
- 小児や虚弱者への施術は特に慎重に行う。
臨床のコツ・組み合わせ(古典的視点)
- 失語・言語障害:廉泉(CV23)、通里(HT5)と組み合わせ、利舌開音の作用を補った。
- 咽喉腫痛:合谷(LI4)、人迎(ST9)とあわせ、咽頭部の腫脹を鎮める目的で用いた。
- 項背拘急:天柱(BL10)、風池(GB20)と組み合わせてうなじの緊張を緩和。
- 精神症状:百会(GV20)、神門(HT7)と組み合わせ、安神の目的で応用された。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。

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