魚腰まとめ:効能・取穴・関連症状

名称

  • 和名:魚腰(ぎょよう)
  • 経穴分類:経外奇穴(頭顔部)
  • 英名:Yuyao (EX-HN4)
  • 別名:眉中、眉腰


取穴(位置・取り方)

  • 眉毛の中央の上方、眉毛弓の直上に取る。
  • 眉毛の弓の中央で、瞳孔の垂直線上に位置する陥凹部。
  • 眉頭(攢竹, BL2)と眉梢(絲竹空, TE23)のほぼ中点。


解剖(近接構造)

  • 表層:皮膚、皮下組織。
  • 筋層:眼輪筋。
  • 神経:顔面神経(眼輪筋枝)、滑車上神経、眼窩上神経の枝。
  • 血管:滑車上動・静脈、眼窩上動・静脈の枝。


東洋医学的作用(要点)

  • 明目止痛: 目の疲れ・痛み・充血を改善する。
  • 舒筋活絡: 顔面筋のこわばり・痙攣を和らげる。
  • 鎮静安神: 神経の興奮を鎮め、頭痛や眼精疲労を軽減。


主な適応症

  • 眼精疲労、視力低下、眼瞼痙攣。
  • 眉間・前額部の頭痛。
  • 三叉神経痛(眼神経領域)。
  • 顔面神経麻痺。
  • 美容目的(目元のたるみ・クマ・眉間のしわ)。


古典的記載・由来

  • 「眉は魚の腰の如し」と形容されたことから名づけられた。
  • 明代『鍼灸聚英』に「去風明目、療目中熱痛」とある。
  • 眼疾患や額痛に効く奇穴として古くから使用。


刺鍼法・施灸法

  • 刺鍼: 皮内鍼または浅刺 0.3〜0.5寸。
    眉毛に沿って横刺、またはやや上方へ斜刺する。
    強い響きは不要。軽くチクッとする程度が望ましい。
  • 施灸: 艾炷灸1〜3壮、温灸5〜10分。
    目の近くのため、灸痕を避けるよう注意。
  • 注意: 眼球を損傷しないよう、針の方向と深さを慎重に調整。


臨床のコツ・応用例

  • ① 眼精疲労・視力低下:魚腰(EX-HN4)+攅竹(BL2)睛明(BL1)承泣(ST1) → 目の血流改善と疲労回復に最も効果的な組み合わせ。
  • ② 眉間・額部の頭痛:魚腰(EX-HN4)+印堂(EX-HN3)太陽(EX-HN5)百会(GV20) → 前頭部の緊張性頭痛・眼性頭痛に著効。
  • ③ 顔面神経麻痺・眼瞼痙攣:魚腰(EX-HN4)+四白(ST2)地倉(ST4)頬車(ST6)→ 顔面筋の弛緩や痙攣を改善、表情回復を助ける。
  • ④ 美容鍼(目元のたるみ・クマ):魚腰(EX-HN4)+攅竹(BL2)承泣(ST1)四白(ST2) → 目元の血流促進と眼輪筋のトーンアップに有効。  リフトアップ効果を狙う際は浅刺・微刺激で。
  • ⑤ 不眠・精神安定:魚腰(EX-HN4)+印堂(EX-HN3)神門(HT7)三陰交(SP6) → 精神的な緊張や目の酷使による不眠に応用。
  • 臨床メモ
    • 眼の酷使やデジタル疲労による「眼性頭痛」によく効く。
    • 眉間や目の周囲の血行を促進するため、美容鍼でも頻用。
    • 印堂と併用して「精神安定・リラックス効果」を高めることができる。
    • 浅刺でも十分効果があるとされている。

※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。

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