名称
- 和名:魚腰(ぎょよう)
- 経穴分類:経外奇穴(頭顔部)
- 英名:Yuyao (EX-HN4)
- 別名:眉中、眉腰
取穴(位置・取り方)
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋層:眼輪筋。
- 神経:顔面神経(眼輪筋枝)、滑車上神経、眼窩上神経の枝。
- 血管:滑車上動・静脈、眼窩上動・静脈の枝。
東洋医学的作用(要点)
- 明目止痛: 目の疲れ・痛み・充血を改善する。
- 舒筋活絡: 顔面筋のこわばり・痙攣を和らげる。
- 鎮静安神: 神経の興奮を鎮め、頭痛や眼精疲労を軽減。
主な適応症
- 眼精疲労、視力低下、眼瞼痙攣。
- 眉間・前額部の頭痛。
- 三叉神経痛(眼神経領域)。
- 顔面神経麻痺。
- 美容目的(目元のたるみ・クマ・眉間のしわ)。
古典的記載・由来
- 「眉は魚の腰の如し」と形容されたことから名づけられた。
- 明代『鍼灸聚英』に「去風明目、療目中熱痛」とある。
- 眼疾患や額痛に効く奇穴として古くから使用。
刺鍼法・施灸法
- 刺鍼: 皮内鍼または浅刺 0.3〜0.5寸。
眉毛に沿って横刺、またはやや上方へ斜刺する。
強い響きは不要。軽くチクッとする程度が望ましい。 - 施灸: 艾炷灸1〜3壮、温灸5〜10分。
目の近くのため、灸痕を避けるよう注意。 - 注意: 眼球を損傷しないよう、針の方向と深さを慎重に調整。
臨床のコツ・応用例
- ① 眼精疲労・視力低下:魚腰(EX-HN4)+攅竹(BL2)+睛明(BL1)+承泣(ST1) → 目の血流改善と疲労回復に最も効果的な組み合わせ。
- ② 眉間・額部の頭痛:魚腰(EX-HN4)+印堂(EX-HN3)+太陽(EX-HN5)+百会(GV20) → 前頭部の緊張性頭痛・眼性頭痛に著効。
- ③ 顔面神経麻痺・眼瞼痙攣:魚腰(EX-HN4)+四白(ST2)+地倉(ST4)+頬車(ST6)→ 顔面筋の弛緩や痙攣を改善、表情回復を助ける。
- ④ 美容鍼(目元のたるみ・クマ):魚腰(EX-HN4)+攅竹(BL2)+承泣(ST1)+四白(ST2) → 目元の血流促進と眼輪筋のトーンアップに有効。 リフトアップ効果を狙う際は浅刺・微刺激で。
- ⑤ 不眠・精神安定:魚腰(EX-HN4)+印堂(EX-HN3)+神門(HT7)+三陰交(SP6) → 精神的な緊張や目の酷使による不眠に応用。
- 臨床メモ
- 眼の酷使やデジタル疲労による「眼性頭痛」によく効く。
- 眉間や目の周囲の血行を促進するため、美容鍼でも頻用。
- 印堂と併用して「精神安定・リラックス効果」を高めることができる。
- 浅刺でも十分効果があるとされている。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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