承泣まとめ:効能・取穴・関連症状

名称

  • 和名:承泣(しょうきゅう)
  • 経穴:足の陽明胃経(ST1)
  • 英名:Chengqi (ST1)


取穴(位置・取り方)

  • 顔面部、眼窩下縁と眼球の間、瞳孔の直下に取る。
  • 患者に正視させ、眼を軽く閉じさせた状態で、下眼瞼の中央のくぼみに位置する。
  • 眼疾患の主要な治療点として頻用される。


解剖(近接構造)

  • 表層:皮膚、皮下組織。
  • 筋肉:眼輪筋。
  • 神経・血管:眼窩下神経・動静脈、眼球・視神経に近接。刺鍼方向には特に注意が必要。


東洋医学的機能(要点)

  • 明目作用:目の充血・かすみ・視力低下に用いられる。
  • 祛風・清熱:目の腫れや流涙、風邪に伴う眼症状にも応用。
  • 局所調整:まぶたの痙攣や眼球運動障害にも選穴される。


臨床応用(眼科疾患・局所症状)

  • 視力障害:近視・弱視・視力減退の補助療法。
  • 眼科疾患:結膜炎、角膜炎、麦粒腫、流涙、夜盲症など。
  • 神経症状:眼瞼下垂、眼筋麻痺による複視の補助治療。


刺鍼法(安全重視)

  • 推奨針サイズ:直径0.14–0.18mm、長さ15–25mm。
  • 刺入方向と深さ
    • 患者に眼を軽く閉じてもらい、下眼窩縁に沿って眼球を避けながら後上方へ0.3–0.5寸刺入。
    • 必ず眼球を指で軽く押さえて保護し、安全を最優先に行う。
  • 保持時間:5–10分程度。強刺激は避ける。
  • 灸法:通常は行わない。
※本記事は古典的文献に基づく教育的まとめであり、現代医療的効果を保証するものではありません。特に承泣は眼球直近のため、施術は必ず高度な技術を持つ有資格者のみが行うべきです。


禁忌・注意

  • 刺鍼時は必ず眼球を避ける。誤刺は失明の危険がある。
  • 眼科疾患の急性期(強い炎症や感染症)には刺鍼を控える。


臨床のコツ・刺鍼コンビネーション

  • 承泣(ST1)は眼疾患の第一選穴とされ、局所の明目作用を持つ。
  • 結膜炎や流涙には、睛明(BL1)風池(GB20) を組み合わせ、風熱や瘀血を取り除く調整を図る。
  • 近視や弱視の改善を目指す場合には、遠隔穴として 光明(GB37)照海(KI6) を併用することで、肝腎を養い目に精を通すとされる。
  • 眼瞼下垂や眼筋麻痺などの神経症状では、局所の 四白(ST2)絲竹空(TE23) と組み合わせ、眼周囲の気血循環を高めることで症状の改善が期待される。

※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。

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