名称
- 和名:禾髎(かりょう)
- 経穴:手の陽明大腸経(LI19)
- 英名:Heliao (LI19)
取穴(位置・取り方)
- 鼻唇溝(法令線)の中点、迎香(LI20)の下方に取る。
- 笑った時にできる法令線の最も深い部分に位置する。
- 顔面局所症状で用いられることが多い穴。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚・皮下組織。
- 筋層:口輪筋。
- 神経・血管:顔面動脈分枝、顔面神経の分枝(頬筋枝)が分布。
東洋医学的機能(要点)
- 局所調整作用:鼻閉、口唇周囲の運動障害、顔面麻痺に用いる。
- 開竅通絡:経絡を通じ、気血の流れを改善する。
- 美容的応用:顔のむくみやたるみ、しわ改善を目的に用いられることもある。
臨床応用(顔面神経麻痺・鼻疾患など)
- 顔面神経麻痺:口角の動きの改善、笑顔の回復。
- 鼻疾患:鼻閉、慢性鼻炎、副鼻腔炎。
- 口唇周囲症状:口唇麻痺、流涎、言語障害の補助。
刺鍼法(安全重視)
- 推奨針サイズ:直径0.14–0.20mm、長さ15–30mm。
- 刺入方向と深さ:
- 皮膚に対して直刺または斜めに、0.3–0.5寸(約5–10mm)。
- 浅く刺し、強刺激を避ける。局所の神経や血管に注意。
- 保持時間:10分前後。急性症状では雀啄など軽刺激も用いる。
- 灸法:通常は用いないが、美容鍼灸の一部では温熱刺激を加えることがある。
禁忌・注意
- 顔面動脈が近いので、血管損傷に注意。
- 感染防止のため、清潔操作を徹底する。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
- 禾髎は局所の調整に優れるため、顔面神経麻痺の際には、地倉(ST4) や 頬車(ST6) と組み合わせることで口角の運動改善が期待できる。
- 鼻閉や副鼻腔炎では、迎香(LI20) や 攅竹(BL2) を併用し、鼻の通りを促す。
- 口唇のしびれや発音障害の改善を目的とする場合には、廉泉(CV23) や 内関(PC6) といった遠隔穴を加えると、全体的な気の巡りを調整できる。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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