四華まとめ:効能・取穴・関連症状

名称

  • 和名:四華(しか)
  • 経穴分類:経外奇穴(背部)
  • 英名:Sihua
  • 意味:「華」は栄える・盛んの意。「四華」は上下左右に四つ配列し、気血を盛んにし体力を増すことから名づけられた。


取穴(位置・取り方)

  • 紐の準備: 長い紐を一本用意します。
  • 大椎穴(だついけつ)に当てる: 患者を直立させ、紐の中央部を大椎穴(首の後ろの出っ張った骨の下)に当て、首にかけます。
  • 紐の長さを決める: 紐の両端を揃えて前胸部に下垂させ、鳩尾穴(きゅうびけつ)(みぞおち)の部で紐を切断します。これが基準となる長さです。
  • 背部の仮点を決める: 切断した紐の中央部を、今度は甲状軟骨(喉仏)の上に当て、背部に回します。脊柱上の紐の尽きるところに仮点(目安となる点)を付けます。
  • 最終的な取穴: 次に、患者の口を閉じさせ、別の短い紐を使って、一方の口角(口角)から斜め上方にあてて、以下の4箇所に最終的なツボの位置を決定します(左右両側で計4穴)。 


解剖(近接構造)

  • 表層:皮膚、皮下組織。
  • 筋層:僧帽筋、菱形筋。
  • 神経:胸神経後枝。
  • 血管:肋間動脈背枝。
  • 深部構造:肋骨、胸膜(深刺に注意)。


東洋医学的作用(要点)

  • 補益肺気: 肺を補い、呼吸機能や免疫力を高める。
  • 健脾和胃: 消化吸収を助け、疲労や食欲不振を改善。
  • 調理気血: 全身の気血の循環を促し、虚弱体質を改善。
  • 扶正固本: 正気を補い、体質強壮・病後回復に優れる。


主な適応症

  • 慢性疲労、倦怠感
  • 食欲不振、胃弱、消化不良
  • 貧血、虚弱体質
  • 慢性咳嗽、喘息、気管支炎
  • 自汗・盗汗、免疫低下、病後の体力回復


刺鍼法・施灸法

  • 刺鍼方向: やや内下方に向けて斜刺。
  • 刺入深度: 0.5~0.8寸(浅刺。胸膜損傷に注意)。
  • 施灸: 温灸または隔物灸を1~3壮。慢性疾患・虚証に有効。
  • 禁忌: 肺尖部に近いため、深刺は厳禁。


臨床のコツ・刺鍼コンビネーション



古典的背景・文献

  • 『奇穴図譜』:「治虚損、食少、気短、咳嗽、喘息」
  • 『外台秘要』:「補虚羸、益気力、治百労」
  • 「四華」は背部の“養正の四花”とも称され、体の虚弱や慢性疾患の回復に用いられる。


臨床メモ

  • 「四華」は背部で肺・脾・胃の気血を補う特効穴群。
  • 慢性疲労・虚弱・病後回復など、全身の虚証に優れる。
  • 補益・温補系の治療で「足三里」「関元」「命門」と併用されやすい。
  • 虚労や慢性疾患の養生灸として古くから重用されている。

※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。

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