名称
- 和名:水分(すいぶん)
- 経穴:任脈(CV9)
- 英名:Shuifen (CV9)
- 意味:「水分」とは体内の水湿を調整することを示し、特に腹部の水腫や小便異常に関与する意を持つ。
取穴(位置・取り方)
- 臍の上方1寸、正中線上に取る。
- 臍(神闕, CV8)と建里(CV11)の中間点よりやや下に位置する。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋肉:腹直筋腱膜。
- 神経:第9肋間神経の前皮枝。
- 血管:上腹壁動静脈の分枝。
- 臓器:腹腔内には小腸が位置するため、刺鍼時は深刺に注意する。
東洋医学的機能(古典的記載)
- 健運脾胃:脾胃の機能を整え、消化を助ける。
- 調和水道:体内の水分代謝を調整し、水腫や小便不利に用いる。
- 和中止瀉:胃腸不和による下痢・腹鳴の改善を図る。
古典的応用例
- 『鍼灸甲乙経』:腹満、小便不利、腹水に用いると記載。
- 『千金要方』:小児の腹鳴、下痢、腹満に応用する旨がみられる。
- 『類経図翼』:中焦の水湿を調整し、腫満や水腫を治する要穴として挙げられる。
- 『鍼灸大成』:心腹膨満、水腫、小便不通に有効とされる。
刺鍼法(古典的記載・参考)
- 刺入方向:皮下に向けて直刺または斜刺。
- 刺入深度:0.5〜1.0寸(※腹腔内臓器への損傷防止のため深刺禁止)。
- 灸法:腹部冷え、下痢、腹水に灸が用いられることがある。
※古典的記載を教育・研究目的でまとめています。実際の施術は必ず有資格者が行ってください。
禁忌・注意
- 腹腔内に近接するため、深刺は避ける。
- 妊婦には基本的に刺鍼禁忌とされる。
- 体力の弱い者には灸刺激も慎重に行う。
臨床のコツ・組み合わせ(古典的視点)
- 水腫・小便不利:関元(CV4)、中極(CV3)、三焦兪(BL22)と組み合わせて利水を図る。
- 腹満・腹水:天枢(ST25)、陰陵泉(SP9)、豊隆(ST40)と併用し、水湿の停滞を除く。
- 下痢・腹鳴:天枢(ST25)、上巨虚(ST37)、神闕(CV8)と組み合わせることで脾胃を整える。
- 慢性の消化器不和:中脘(CV12)、足三里(ST36)と組み合わせ脾胃を補う。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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