名称
- 和名:乳根(にゅうこん)
- 経穴:足の陽明胃経(ST18)
- 英名:Rugen (ST18)
- 意味:「乳」は乳房、「根」は基部を意味し、乳房下縁に位置することから名付けられた。
取穴(位置・取り方)
- 乳頭直下、乳房の下縁の凹みで、第5肋間に取る。
- 乳頭を基準に取穴するため、左右対称に確認する。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋肉:大胸筋。
- 神経:第5肋間神経前皮枝、乳房枝。
- 血管:外側胸動脈、内胸動脈の分枝。
- 臓器:胸膜頂部に近接するため、深刺には注意が必要。
東洋医学的機能(古典的記載)
- 通乳作用:乳汁分泌の不足や乳房の腫脹に用いる。
- 散結止痛:乳腺炎や乳房のしこり・疼痛に応用。
- 寛胸理気:胸部の気滞を調整し、咳嗽や呼吸困難にも関連するとされる。
古典的応用例
- 『鍼灸甲乙経』:乳癰(乳腺炎)、胸痛に有効とされる。
- 『千金要方』:乳汁不足の際に乳根穴を用いて催乳を図ると記載。
- 『鍼灸大成』:乳房の腫れ、乳汁不通、咳嗽や胸満に応用することが述べられている。
- 『医学入門』:産後の乳汁不足に乳根を主穴として配穴する記録がある。
刺鍼法(古典的記載・参考)
- 刺入方向:皮下に向けて斜刺。
- 刺入深度:0.5〜0.8寸程度。
- 注意:胸腔に近いため直刺・深刺を避ける。特にやせ型では慎重に行う。
- 灸法:乳汁分泌不足や乳腺炎に対して灸が用いられることもある。
※古典的記載を教育・研究目的としてまとめています。実際の施術は必ず有資格者が行ってください。
禁忌・注意
- 胸膜に近接するため、深刺は気胸の危険あり。
- 妊娠中は乳房や胸部への強刺激は控える。
臨床のコツ・組み合わせ(古典的視点)
- 乳汁不足:膻中(CV17)、少沢(SI1)、天宗(SI11)と組み合わせて催乳を図る。
- 乳腺炎・乳房腫痛:肩井(GB21)、合谷(LI4)、内庭(ST44)と併用し炎症や腫脹を調整する。
- 胸部の気滞・咳嗽:膻中(CV17)、中府(LU1)、太淵(LU9)と配穴して胸気を和らげる。
- 乳房腫塊(古典的記載):膻中(CV17)、期門(LR14)と併用し肝気鬱結を解く目的で用いられる。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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