名称
- 和名:伏兎(ふくと)
- 経穴:足の陽明胃経(ST32)
- 英名:Futu (ST32)
- 意味:「伏」はかがむ、「兎」は素早く動く動物を意味し、大腿部前面に位置し、動作・運動に関与する穴であることに由来する。
取穴(位置・取り方)
- 大腿前面、髂前上棘と膝蓋骨外上縁を結ぶ線の上で、上から1/3の点に取る。
- 大腿直筋の筋腹に相当し、触診で筋肉の隆起を確認して取穴する。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋肉:大腿直筋、中間広筋。
- 神経:大腿神経の筋枝、外側大腿皮神経。
- 血管:大腿動脈の筋枝。
東洋医学的機能(古典的記載)
- 疏風散寒:風寒湿の影響による下肢の痺れ・冷えに用いられる。
- 通絡止痛:下肢の疼痛や麻痺を緩和する。
- 強筋利関節:筋肉を強め、関節の運動機能を助ける。
古典的応用例
- 『鍼灸甲乙経』:下肢痿弱、脚気、麻痺に用いるとされる。
- 『千金要方』:下肢の疼痛・屈伸困難に応用と記載。
- 『鍼灸大成』:脚気、股関節や大腿の痛みに有効とされる。
- 『類経図翼』:筋肉の萎縮や下肢不遂に応用すると記載。
刺鍼法(古典的記載・参考)
- 刺入方向:直刺。
- 刺入深度:1.0〜1.5寸程度。
- 灸法:冷えや筋肉の萎縮、麻痺に用いられる。
※古典的記載を教育・研究目的でまとめています。実際の施術は必ず有資格者が行ってください。
禁忌・注意
- 大腿動脈や神経走行に近接するため、深刺の際は角度・方向に注意する。
- 急性炎症や外傷がある場合には刺鍼を避ける。
臨床のコツ・組み合わせ(古典的視点)
- 下肢痿弱・脚気:足三里(ST36)、陽陵泉(GB34)と組み合わせ筋力回復を図る。
- 大腿痛・股関節疾患:環跳(GB30)、衝門(SP12)と併用して下肢の気血を通す。
- 下肢麻痺・不遂:血海(SP10)、委中(BL40)、太衝(LR3)と組み合わせ、気血を調整し経絡を通じさせる。
- 冷え・痺れ:陰陵泉(SP9)、三陰交(SP6)と配穴して水湿を除き温経通絡を図る。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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