名称
- 和名:衝門(しょうもん)
- 経穴:足の太陰脾経(SP12)、衝脈の起始部
- 英名:Qichong (SP12)
- 由来:「衝」は要衝・衝要の意で、経脈の要衝を意味し、また衝脈の起始部であることから「衝門」と呼ばれる。
取穴(位置・取り方)
- 下腹部、臍中央の下5寸、前正中線の外方2寸に取る。
- 恥骨結合上縁の高さで、気衝(ST30)の位置に相当する。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋肉:腹直筋。
- 神経:腸骨下腹神経、陰部大腿神経の枝。
- 血管:下腹壁動脈、浅腹壁動脈の枝。
東洋医学的機能(古典的記載)
- 調気理血:気血の運行を整える。
- 利水通経:小便不利や月経不調に対応するとされる。
- 衝脈を調整:生殖・婦人科疾患に関与する要穴。
古典的応用例
- 『鍼灸甲乙経』:小腹痛、癃閉(排尿困難)、遺尿に用いるとされる。
- 『銅人腧穴鍼灸図経』:男子の疝気、女子の月経不調・不妊症に応用。
- 『鍼灸大成』:衝脈と関わる要穴として、月経不順・少腹痛・小便不利に効果があるとされる。
- 『類経図翼』:下焦の要穴であり、婦人科・泌尿器疾患に多く応用されると解説。
刺鍼法(古典的記載・参考)
- 刺入方向:直刺。
- 刺入深度:0.5〜1.0寸程度。
- 灸法:冷えによる婦人科疾患や小腹痛に施灸が用いられた。
※古典的記載を教育・研究目的でまとめています。実際の施術は必ず有資格者が行ってください。
禁忌・注意
- 膀胱や腸管が近いため、深刺は避ける。
- 妊娠中は刺激を控える部位とされる。
臨床のコツ・組み合わせ(古典的視点)
- 婦人科疾患(月経不順・不妊・帯下):関元(CV4)、三陰交(SP6)、子宮(EX-CA1)と組み合わせて、生殖機能の調整を図る。
- 泌尿器疾患(小便不利・排尿障害):中極(CV3)、陰陵泉(SP9)、志室(BL52)と併用して利水を助ける。
- 疝気・少腹痛:大巨(ST27)、水道(ST28)、気海(CV6)と合わせて下焦の気滞を通じる。
- 下腹部冷え・虚寒:命門(GV4)、腎兪(BL23)、太谿(KI3)と配穴し、腎陽を温め下焦を補う。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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