名称
- 和名:豊隆(ほうりゅう)
- 経穴:足の陽明胃経(ST40)、絡穴
- 英名:Fenglong (ST40)
取穴(位置・取り方)
- 下腿前外側、外果の上8寸、脛骨前縁と腓骨前縁との中間に取る。
- 膝蓋骨外側縁と外果を結ぶ線をとり、その中点よりやや膝寄りの外側で触れるとわかりやすい。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚・皮下組織。
- 筋肉:前脛骨筋・長指伸筋の外側部。
- 神経・血管:前脛骨動脈・静脈、浅腓骨神経が近接。
東洋医学的機能(要点)
- 祛痰化湿:体内の「痰湿」を取り除く代表的な要穴。
- 清熱化痰:痰熱による咳嗽、喘息、めまいに用いる。
- 安神:痰濁が心神を乱すことで起こる精神不安、不眠に応用。
- 通絡止痛:下肢痛や麻痺、痺れに有効。
臨床応用(呼吸器・精神神経疾患など)
- 呼吸器症状では、豊隆(ST40)を尺沢(LU5)、列缺(LU7)と組み合わせ、痰の多い咳嗽や喘息に用います。
- めまいや頭重感には、豊隆(ST40)を太衝(LR3)、風池(GB20)と組み合わせ、痰湿による眩暈を改善します。
- 精神不安や不眠には、豊隆(ST40)を神門(HT7)、内関(PC6)と組み合わせ、痰濁による心神の乱れを鎮めます。
- 下肢の麻痺や痺れには、豊隆(ST40)を足三里(ST36)、陽陵泉(GB34)と組み合わせ、通絡・止痛作用を高めます。
刺鍼法(安全重視)
- 刺入方向と深さ:直刺またはやや外方に0.5〜1寸(約15〜25mm)。
- 補瀉の使い分け:痰湿や痰熱が主体なら瀉法、虚証の痰湿には補法を加える。
- 灸法:冷えを伴う痰湿証では温灸を使用すると効果的。
禁忌・注意
- 深刺の際は前脛骨動脈に注意。
- 下肢浮腫が強い場合は、強刺激は控えめにする。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
- 痰湿による咳嗽や喘息には、豊隆(ST40)を尺沢(LU5)、列缺(LU7)と併用し、痰を除き肺気を宣発します。
- めまいや頭重感には、豊隆(ST40)を太衝(LR3)、風池(GB20)と組み合わせ、痰濁を除き清陽を上挙します。
- 精神不安や不眠には、豊隆(ST40)を内関(PC6)、神門(HT7)と組み合わせ、痰濁による心神の不安定を鎮めます。
- 下肢の痺れや麻痺には、豊隆(ST40)を足三里(ST36)、陽陵泉(GB34)と組み合わせ、気血を通じさせ運動機能を改善します。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。

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