隠白まとめ:効能・取穴・関連症状

名称

  • 和名:隠白(いんぱく)
  • 経穴:足の太陰脾経(SP1)、井木穴
  • 英名:Yinbai (SP1)


取穴(位置・取り方)

  • 足の母趾(親指)の内側爪甲角の角から約0.1寸後方に取る。
  • 母趾の爪の内側角(内側縁と基底部の交わる角)にある小さな陥凹を目安にする。


解剖(近接構造)

  • 表層:皮膚・皮下組織。
  • 神経:内側足底神経の末梢枝。
  • 血管:足背動脈・静脈の末梢枝。


東洋医学的機能(要点)

  • 止血作用:吐血、鼻出血、便血、子宮出血など出血傾向に広く応用。
  • 健脾作用:脾の虚弱による出血・消化機能低下を改善。
  • 安神作用:精神不安、不眠、多夢に利用。
  • 醒脳開竅:意識障害、昏厥、癲癇など急症時の救急穴として知られる。


臨床応用(出血症状・精神神経症状など)

  • 消化管出血(吐血・下血・便血)には、隠白(SP1)を三陰交(SP6)中極(CV3)と組み合わせ、止血と脾気の健運を図ります。
  • 子宮出血や不正性器出血には、隠白(SP1)を関元(CV4)気海(CV6)三陰交(SP6)と組み合わせ、補気・固摂作用を高めます。
  • 鼻出血(鼻血)には、隠白(SP1)を合谷(LI4)迎香(LI20)と組み合わせ、局所の止血と全身的な気機調整を行います。
  • 精神不安や不眠、多夢には、隠白(SP1)を神門(HT7)内関(PC6)と組み合わせ、安神・清心の作用を強めます。
  • 急な昏厥や癲癇発作など救急時には、隠白(SP1)を刺絡して覚醒を促す方法が伝統的に用いられます。



刺鍼法(安全重視)

  • 刺入方向と深さ:爪甲角の近傍のため、基本は浅刺(約1〜2 mm)。刺絡として用いる場合は三稜鍼などで少量の瀉血を行う。
  • 補瀉の使い分け:出血には刺絡による瀉法、不眠や虚証には浅刺で補法的に用いる。
  • 灸法:小豆大の艾炷灸や温灸を行い、脾気を補い止血を図る。


禁忌・注意

  • 刺絡を行う際は出血量に注意し、虚弱者や貧血患者では慎重に行う。
  • 局所の皮膚が弱いため、強刺激や深刺は避ける。


臨床のコツ・刺鍼コンビネーション

  • 出血症状全般に対しては、隠白(SP1)を三陰交(SP6)気海(CV6)関元(CV4)と組み合わせると、止血と同時に脾気・腎気を補う効果が期待できます。
  • 婦人科系の不正出血や月経過多には、隠白(SP1)を三陰交(SP6)中極(CV3)、太衝(LR3)と併用し、肝脾腎を調和して血海を整えます。
  • 鼻出血では、隠白(SP1)を合谷(LI4)迎香(LI20)と組み合わせると、全身と局所の両面から止血をサポートします。
  • 精神症状や不眠には、隠白(SP1)を内関(PC6)神門(HT7)百会(GV20)と組み合わせることで、痰濁・血熱を除き心神を安定させます。
  • 急性昏厥や癲癇発作時には、隠白(SP1)を単独で刺絡することが伝統的に重視され、醒脳開竅の要穴として利用されます。

※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。

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