名称
- 和名:強間(きょうかん)
- 経穴:督脈(GV18)
- 英名:Qiangjian (GV18)
取穴(位置・取り方)
- 後頭部正中線上、後髪際の上方4寸(脳戸 GV17 の上方1寸半、強間と承光の中間)に取る。
- 項部を軽く前屈させ、風府(GV16)〜百会(GV20)までを結ぶ正中線上で上から4番目の陥凹部に位置する。
- 頭蓋骨の縫合線(ラムダ縫合付近)にあたるため、骨際を軽く押して陥凹を確認すると取りやすい。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋肉:帽状腱膜、僧帽筋上部線維。
- 神経:大後頭神経、後頭下神経。
- 血管:後頭動脈枝。
- 深部:頭蓋骨直下に小脳上面(髄海)があるため、深刺厳禁。
東洋医学的作用
- 清頭明目: 頭部の清陽を上達させ、頭痛・眩暈・視力減退を改善する。
- 安神益脳: 督脈を通じて心神を鎮め、脳気を調整する。
- 疏風開竅: 外風の邪を除き、頭項部の風邪・風熱を鎮める。
主な適応症
- 頭痛(特に後頭部の鈍痛や張痛)。
- めまい、頭重感、てんかん発作、ヒステリー。
- 記憶力低下、精神不安、不眠、神経衰弱。
- 鼻づまり、視力低下、耳鳴りなどの頭感覚障害。
刺鍼法(安全上の注意)
- 刺入方向: やや下方へ向けて平刺、または軽い斜刺。
- 刺入深さ: 0.3〜0.5寸(約5〜10mm)。
- 禁忌: 深刺は絶対に避ける。脳組織への損傷の危険あり。
- 灸法: 温灸・知熱灸いずれも可。頭重・精神疲労・不眠に応用される。
古典的応用例
『鍼灸甲乙経』では「頭風、眩暈を治す」とされ、頭痛・眩暈に多く用いられてきました。
『千金方』では「強間は髄海を養い、神志を安ず」と記され、脳と心神の安定を図る要穴として重視されました。
また、『類経図翼』では「頭中の風熱を散らし、頭清く目明らかにする」とあり、
精神過労やストレスによる頭重感、視力低下にも応用されました。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
- ① 後頭部の頭痛・項強:強間(GV18)+脳戸(GV17)+風池(GB20)+天柱(BL10) → 外風による後頭痛や筋緊張性頭痛に有効。
- ② 不眠・精神不安:強間(GV18)+百会(GV20)+神庭(GV24)+神門(HT7) → 督脈を通して心神を鎮め、安眠を促す組み合わせ。
- ③ 記憶力減退・集中力低下:強間(GV18)+百会(GV20)+腎兪(BL23)+太谿(KI3) → 督脈と腎精の関係を補い、髄海を滋養する。
- ④ めまい・頭重:強間(GV18)+風池(GB20)+翳風(TE17)+合谷(LI4) → 気血の滞りを除き、頭部循環を改善する。
- ⑤ ヒステリー・癲癇発作:強間(GV18)+風府(GV16)+百会(GV20)+水溝(GV26) → 督脈上で脳髄の気を通し、中枢神経の異常興奮を鎮める古典的配穴。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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