名称
- 和名:翳風(えいふう)
- 経穴:手の少陽三焦経(TE17)
- 英名:Yifeng (TE17)
取穴(位置・取り方)
- 耳介後方、下顎角の後方で、乳様突起と下顎枝の間の陥凹に取る。
- 耳たぶのすぐ後ろに位置し、開口時に陥凹が明らかになるため、開口して取穴すると分かりやすい。
- 耳疾患や顔面神経麻痺の施術に際して、臨床的に頻用される部位。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋肉:胸鎖乳突筋後縁。
- 神経:顔面神経幹(耳下腺内を通過)、耳介後神経、小後頭神経。
- 血管:後耳介動脈の枝。
- 重要構造物:顔面神経が出口に近く走行しているため、鍼の角度に注意が必要。
東洋医学的機能(古典的記載)
- 耳を開通:耳鳴、難聴、耳閉塞感に用いられた。
- 風邪を散じる:外風による顔面麻痺や痙攣の調整に応用された。
- 経気を通調:三焦経と胆経が交わる部位として、耳・顔面の気血をめぐらせるとされた。
古典的応用例
- 耳疾患:耳鳴、難聴、中耳炎、耳閉。
- 顔面神経麻痺(口眼喎斜)。
- 歯痛、顎関節痛。
- 咽喉の腫痛、扁桃腺炎。
- めまい、頭痛。
刺鍼法(古典的記載・参考)
- 刺入方向:直刺または前方に向けてやや斜刺。
- 刺入深度:0.5〜1.0寸。
- 注意点:顔面神経の走行部位にあたるため、過度な刺激は避ける。
- 灸法:耳疾患や麻痺に対して、艾炷灸や温灸が記載されている。
※本まとめは古典的記載をもとにした教育的資料です。実際の施術は必ず有資格者の判断のもとで行ってください。
禁忌・注意
- 顔面神経が近いため、深刺・強刺を避ける。
- 耳下腺炎や局所の炎症がある場合は施術を控える。
- 耳疾患への応用時は清潔保持を徹底する。
臨床のコツ・組み合わせ(古典的視点)
- 耳疾患:聴宮(SI19)、耳門(TE21)、聴会(GB2)と併用して「耳の疾患三要穴」に加え、耳鳴・難聴の施術に応用された。
- 顔面神経麻痺:地倉(ST4)、迎香(LI20)、陽白(GB14)など局所穴と組み合わせて表情筋の調整を図る。
- 咽喉疾患:廉泉(CV23)、合谷(LI4)と組み合わせ、咽痛や扁桃腺炎の調整に用いられた。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。

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