名称
- 和名:定喘(ていぜん)
- 経穴:経外奇穴(背部)
- 英名:Dingchuan (EX-B1)
- 由来:「喘」を鎮める(定める)効能があることから命名された。
取穴(位置・取り方)
- 第7頸椎棘突起(大椎:GV14)の下、約0.5〜1寸外方に取る。
- 両側性に存在し、左右1穴ずつ取る。
- 触診では、気管支疾患の患者に圧痛が出やすい。
解剖(近接構造)
- 皮膚・皮下組織。
- 僧帽筋、頭板状筋の停止部付近。
- 神経:後枝内側枝(頸神経C4〜C6)、交感神経幹分枝。
- 血管:頸横動脈枝。
東洋医学的機能
- 平喘止咳:喘息・慢性咳嗽を鎮める。
- 化痰利気:痰を除き、気の滞りを巡らせる。
- 宣肺寧喘:肺気を宣通させ、呼吸を安定させる。
古典的応用例
- 『鍼灸資生経』:喘咳に効ありと記載。
- 『医学入門』:気喘・痰嗽を治すとされる。
- 『鍼灸大成』:定喘は「喘咳を定むる要穴」として紹介される。
- 近代中医学では、気管支喘息・慢性気管支炎・咳嗽・気管支拡張症などの呼吸器疾患に広く用いられる。
刺鍼法(参考・古典的記載)
- 刺入方向:直刺またはやや斜刺。
- 刺入深度:0.5〜1寸。
- 灸法:艾炷灸・棒灸を施すと温補効果があり、寒痰による咳嗽に有効とされる。
※教育・研究目的の古典的記載です。実際の施術は必ず有資格者の管理下で行ってください。
禁忌・注意
- 頸部は重要血管・神経が近接するため、深刺に注意する。
- 急性発作時には刺激量を加減し、呼吸困難を悪化させないよう留意する。
臨床のコツ・組み合わせ
- 気管支喘息:肺兪(BL13)、膏肓(BL43)、太淵(LU9)と併用し、肺気を強化。
- 咳嗽・痰多:豊隆(ST40)、列缺(LU7)、中府(LU1)を加えて化痰・宣肺を助ける。
- 慢性気管支炎:膻中(CV17)、尺沢(LU5)、定喘を同時に用いて呼吸機能を調整。
- 夜間発作性喘息:腎兪(BL23)、命門(GV4)、太谿(KI3)と配穴し、腎気を補って納気を助ける。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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