名称
- 和名:大包(だいほう)
- 経穴:足の太陰脾経(SP21)、脾の大絡
- 英名:Dàbāo (SP21)
取穴(位置・取り方)
- 側胸部、第6肋間、腋窩の中央線上に取る。
- 腋窩中央から下方へ指をすべらせ、第6肋間の陥凹を探るとわかりやすい。
- 体格によって肋間の数え方が難しい場合は、乳頭線や肋骨弓との位置関係を参考にする。
解剖(近接構造)
- 表層:皮膚、皮下組織。
- 筋層:前鋸筋・外腹斜筋の上部。
- 神経:第6肋間神経の外側皮枝。
- 血管:肋間動脈・静脈の枝。
- 深部:胸膜腔(深刺は気胸の危険がある)。
東洋医学的機能
- 脾の大絡:全身の気血を総括し、経絡を統合する働きを持つとされる。
- 行気活血:気血の流れを調整し、四肢の痛みや倦怠感を改善する方向に働く。
- 通絡止痛:全身の関節痛・筋肉痛・身体の重だるさに応用。
- 調和胸脇:胸脇部の張りや痛み、呼吸困難に用いられる。
臨床応用(主な適応)
- 全身症状:倦怠感、四肢のだるさ、全身の関節痛。
- 胸脇部の症状:胸脇部の張り、胸痛、肋間神経痛。
- 呼吸器疾患:咳嗽、喘息、息切れ。
- 慢性疾患:全身の気血不調に伴う長引く体調不良。
刺鍼法(安全重視)
- 針具:0.20–0.25mm、長さ15–30mm。
- 刺入方向と深さ:外斜刺で0.3–0.5寸程度。直刺や深刺は禁止(気胸リスク)。
- 灸法:温灸・知熱灸も適応。全身倦怠感や慢性疲労に用いられる。
禁忌・注意
- 深刺・直刺は禁忌(気胸の危険がある)。
- 痩せ型の人や肋間が浅い人は特に注意。
臨床のコツ・刺鍼コンビネーション
大包(SP21)は「脾の大絡」と呼ばれ、脾経のみならず全身の経絡を統括する重要穴です。そのため、局所の症状だけでなく「全身倦怠」「四肢の無力感」「全身の疼痛」など広範な症状に活用されます。
- 全身倦怠・虚弱:大包(SP21)+足三里(ST36)+脾兪(BL20)。
- 全身の痛み:大包(SP21)+合谷(LI4)+三陰交(SP6)。
- 胸脇部の張りや痛み:大包(SP21)+期門(LR14)+膻中(CV17)。
- 呼吸器疾患:大包(SP21)+天突(CV22)+肺兪(BL13)。
特に慢性疲労や全身の重だるさが強い場合、補気健脾の経穴(足三里・脾兪)と組み合わせることで、より効果的に応用されることが多いです。
※本サイトは東洋医学における経穴の学習を目的としています。実際の鍼灸施術は必ず国家資格を持つ専門家にご相談ください。自己治療として刺鍼を行うことは危険ですのでお控えください。
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